「今日は君を待ってたんだ」
「あなたは?」
金髪の耳無しの子供。
立夏と同じ年でありながら,耳の無い子供。
「俺は我妻草灯っていうの。立夏から聞いてない?」
「知りません」
随分素っ気無い子供だなぁ可愛げの無い。立夏とは大違い。正反対の子供だ。
「あっそう」
それに歩くの速いし。
「です。青柳が知っているからと言って、あなたを全員が知っているという思い込みもまた凄いものがありますね」
「それは悪かった。でね、君に用事があるんだ」
「用事ですか。俺はこれから別の用事がありまして、緊急以外の用は極力避けたいのですが」
つまりそれって俺と話すことは無いってことか。
「ねぇ。どうして耳がないの?」
「いい加減その手の質問にはウンザリしているんですがね。12で耳が無いって,そんなに珍しいですか?」
逆に質問され、答えが詰まる。つまり、人の勝手だろうと。
そう言うわけだ。
「君は、立夏とは大違いだね」
「そうですか。とは言え、他人と比較されても嬉しくも何ともありませんが。用件はそれだけでしたら失礼します」