Sky Lord
02.Baddest People
「「バカルディあるだけ持ってこい!!」」の隣でレヴィとオカジマさんの勝負が始まり、それに気づいた勝負ごとに敏感なテーブルの連中が賭けを始めてしまった。
はその胴元に名乗り出て、金を集める。
「おらおらぁ、テメェら! レヴィとロックどっちが勝つか! オッズは今3・7のレヴィが有利だ!」
野蛮な連中が賭け事に夢中になっている向こう側で、電話をしているダッチの姿が見えた。
だが、その様子が気になって盛り上げ隊から少し離れた時だった。
「イェア! 楽しく飲んでるかクソ共? 俺からの素敵なプレゼントだ」
入ってきた連中の恰好、持っているものを見てとレヴィの表情が変わる。
キンッ!
という、手榴弾のレバーを外す独特の音を聞いて確信したが、そのままカウンターに滑り込むのと、
「受け取れ!」
という言葉と共にソレらが投げられたのは同時だった。
ドッカン!!!
というド派手な音がして店の表側が吹っ飛び、男が叫ぶ。
「野郎共、パーティ・タイムだ!!」
懐かしい銃撃の音が周囲に響き渡る。
「逃げる奴にゃ尻の穴をも一つこさえてやれ!!」
懐かしい消炎の匂いが辺りに漂い出す。
「この酒場にゃ死人しかいねぇ!」
銃を乱射しているのは恐らく軍人崩れ……
なんて思っていると、バオの居るカウンターにレヴィが流れ込んできた。
「レヴィ! 手前のダチだろ、何とかしてくれ!」
だがレヴィは冷静に
「知らねぇよ」
と返す。
しかしダッチが言った言葉で事情はある程度把握できた。
「クソッ! 来るのが早え! レヴィ!! 無事か?」
そんな問いかけに、グラスを持ってグイッと一杯ひっかけながら冷静に
「生きてるよー」
と返すレヴィに、オカジマさんが驚いた表情で見ている。
「ベニー!」
次に呼ばれたのはベニーだが、こちらも
「不思議と生きてる」
と何とか無事のようだ。
「シュウ!」
名を呼ばれ、ダッチに返す。
「おう、無事無事!」
「ロックは?」
との問いかけには
「もう嫌だ! もうたくさんだ! せっかく国立出ていいとこ就職したのにこれじゃあんまりだッ。助けて!!!」
と喚いている。
それに冷静にレヴィが鼻歌を歌いながら
「喚くなバカ。人生は楽しまなきゃな……」
と言いつつ、銃撃の準備をしている。
「損だぜ、日本人」
そして、ダッチの声が響く。
「レヴィ! 二挺拳銃の名は伊達じゃねぇってところ……見せてやれ!!」
「Oh Yeah!!!」
レヴィがそう答え、すぐに表に飛び出していく。
新たに現れた標的に
「ぶっ殺せ!!」
という声が響くが、やられるのは相手の方だった。
「。車を取りに行きたい。護衛を頼む」
「あいよ、ベニー」
周囲で銃撃戦が繰り広げられている中、金髪で眼鏡をかけたベニーとそんな会話をした後、オカジマさんの叫びが響いてきた。
「やめろ馬鹿しんじまうよ! 連れてけ、俺を連れてけ!!」
そんな叫びなど構っていられないとばかりに、ベニーが乱戦の中で車を取りに走る。
その護衛をしながら、走っていると銃弾が飛んできた。
「!?」
の体に弾が貫通すると思った次の瞬間だった。
「……止まれ」
そう言っただけだった。
そう言っただけで、飛んできた銃弾がその場に止まる。
「返すよ」
そう言って銃弾が返された後、撃った男は驚愕の表情をしたまま撃たれた。
「相変わらずエゲツナイ『名前』の使い方だ」
「まぁな。とりあえず、早く車を回そう。ベニー」
そう言ったのと同時に二人が走り出し、ベニーが運転席にが後部座席に乗り車を玄関に回す。
「出すよ急いで!」
慌ててて乗ってきたオカジマさんを受け止めて、レヴィが次に乗り込んできた。
が、完全には乗らずに上半身を外に出している。
それに気づいたダッチが
「レヴィ、何してやがる? オイ!」
と叫ぶも、彼女は冷静に手榴弾のピンを二本抜いていた。
「あの戦争屋共に、イースターエッグをくれてやる」
そう言って投げ込まれたイースターエッグ、もとい手榴弾がバオの店にあった奴らの車を吹き飛ばす。
――そういう事するからバオに恨まれるんだろう?
は思うが口には出さないでいると、車内に入ってきた彼女がダッチに話しかけた。
「ダッチ。バオの野郎、スチーム・ポットみたく怒ってたぜ。弁償しなけりゃ店にも入れねぇし、尻の穴も溶接するってよ」
「尻の穴はおっかねぇな、泣きそうだ。バラライカに言ってはずんでもらおうか」
そう言ったダッチの横で、ベニーはドッグの方へとハンドルを切った。
「それにしても……えっと…………君? だっけ? なんで……君……」
落ち着いたのか、オカジマさんがを見て驚いた声を上げている。
「あぁ。領域の使い方か?」
「そうじゃなくて! 君、えっと……さっきは気づかなかったけど、君、子供じゃないか!」
「そうだよ? なんだよ、気づかなかったのか?」
えらく鈍感だな、さすが平和ボケ。そう思っただったが、黙っていることにした。
「気づかなかったって……君、えっと、名前は?」
「。ここではもっぱら、って呼ばれてるけどね」
「……って、君、日本人?」
金髪で耳がない状態では、日本の子どもには見えないのだろう、信じられない様子でオカジマさんが告げる。
「まぁ半分はね。半分は違うけど。それにしても、オカジマさん。あんた今頃気づくって、ほんと……」
肩を揺らし笑い出すの横の横で、レヴィが肩を震わせて腹を抱えているのが見える。
そしてレヴィが問いただす。
「そう言えば。てめぇ、さっきの賭けの金はどーしたんだ?」
それにニヤリとした顔で
「もちろん飛ばして、今頃ドッグの中さ」
その言葉に、レヴィはもちろんダッチも口笛で答える。
「流石だぜ。やっぱ、持つべきものは『力』だな」