Sky Lord
05.I'm sure it was love
「落ちた……な」忍足に答えるようにそう呟いたは、耳の落ちた忍足の頭を感慨深げに見つめている。
「……どしたん?」
「なんでもない」
忍足の言葉に返事をすると、は忍足の頭から視線を外して告げる。
「……いいから、抜けよ」
「余韻楽しませてぇや」
「お前ね……」
体の力を抜き、左の肩に顔を寄せて呟く侑士の言葉にズキリとの心の何処かが軋む。
それはトラウマだったり、幼いころに耳を落とさせてしまった手塚のことだったり、この夏にタイのロアナプラに連れて行ったのことだったり。
――俺にとって、耳を落とす、という行為は結構重要なんだなぁ……
と、が自分を客観的に考えていると忍足が満足したのか、
「今、抜くわ」
と告げてきて、彼が抜いたころで部屋のドアが開いた。
「早いわ……」
「終わりましたか?」
「終わったけど……その……」
自分に抱きついて離れない忍足をチラリと見て、が言い淀む。
「忍足」
「分かってる」
「ならいい」
二人で分かるものがあるのか、言葉少なめに忍足と手塚がやり取りする。
忍足と手塚、二人の視線がぶつかってから離れた忍足は、そのままジャージを履いて眼鏡をかけた。
「じゃ、後は任せたわ」
落ちた自分の猫耳をベッドに残して、パタンという音を立ててドアが閉められた。
部屋に沈黙が下りる。
「……」
呟くように手塚が名前を告げる。
その言葉に色々複雑な思いが込められているのが分かって、は内心苦笑いする。
だが自分から動くことはせずに、手塚の判断を待つ。
(迷ってるのか?)
領域を最小域で展開して、モールスで聞く。
言葉にできない思いも、これなら少しは届く。
「いいえ」
言葉少なく返事が返ってくることに、やはりは苦笑いする。
「」
その呼び方に、少し違和感を覚えては領域を消す。
――決心したか……
そう思ったのと同時に手塚が眼鏡を取ってベッドに座り、体を傾けてに覆いかぶさるようにキスをしてくる。
「ん……」
僅かな隙間から舌を差し入れてきて、の舌を絡めとる。
――上手いんだよなぁ……全く……
そう思ったのを最後に、余裕は全くなくなった。
まずベッドの上で四つん這いになるよう命令され、性感帯でもある左肩を思いっきり撫でられる。
刻まれた『MERCILESS』の文字の上を指でなぞられ、は声を殺すので必死だった。
「……」
反応していることは手塚もわかってるのだが、触ってくる気配がない。
――く……に?
一体何を考えてるのかと声を出そうとするが、喘ぎ声しか出ない。
背中に舌を這わされ、体の反応が大きくなる。
「……ッあ……!」
ガクリと腕の力が抜けて、そのまま上半身だけベッドにうつ伏せで寝る形になってしまう。
それでも舌は付いてきた。
撫でるように名前の上に舌を這わすと、手塚が
「……指、入れますよ?」
そう告げてくる割には容赦がない手塚の指に、は少しだけ涙目になる。
前立腺をいじられて、声が止まらない。
「く……に……」
――入れるなら入れろ……
そう思いを込めて睨むが、無視された。
「もう少し」
「……っ!」
名前を呼ばれ、背中の傷に舌を這わされて、限界が来た。
「……んぁ……あっ…」
「声は、我慢するな」
「……あっ…あぁぁぁ……っ!」
命令に逆らえずに声が出る。
せめてもの抵抗としてベッドで口を塞ぐが、それでも声が出るのは止められなかった。
「」
「……んだよ」
疲れて完全にうつ伏せになったが、少し恨めしそうに手塚に答える。
「愛してます」
「……そ……か……」
まさかの告白に、何とも言えない気分になったは、とりあえず頼み事をしてみることにした。
「とりあえず、寝かせて。……もう疲れた」
本気で疲れたが告げる。
「、返事は?」
「分かってると思うけど、俺は……お前たちの気持ちは受け取れない。知ってるだろ?」
「ダメです。あなたが何と言おうと、俺は、あなたを愛してます。あの時、雨と血が混ざり合った世界の中で、耳が落ちたあの時から」
「……思うのは、勝手だから。それに、手塚は……」
サクリファイスだから、の言葉は遮られた。
「俺がサクリファイスだろうと無かろうと。俺はあなたのこと、好きになってましたよ。」
答えないでいると、さらに先の言葉を手塚が告げる。
「でも、それだけじゃ足りなかった。あなたは名前に支配される人でもある。だから、あなたの支配枠に入るしかなかったんですよ。」
「……そか……」
――答えた方がいいのだろうか……
そう思ったとき、部屋のドアが開いた。
「終わったか?」
入ってきたのは、忍足だった。
シャワーを再度浴びたのか、バスタオルを肩にかけて髪を拭いている。
「終わったよ。疲れた……」
ギシリという音を立てて忍足がベッドに座ると、の髪をそっとかき分けて
「なぁ。この後、またやらして? って言ったら怒る?」
と、聞いた。