『彼』の情報が届いてすぐに、中尉が動いた。
 何事かとは思ったが、すぐに装備を整える。
 自分の装備を整えて訓練場で整列し、中尉の号令を待つ。
「撃墜王が見つかった」
――おお。
 そう思ったのは事実だ。
 だがそれ以上の感情が湧かなかった。
 何せ、300年以上の前の人間だ。
 果たして、どんな奴なのか……
少尉。何も思わないんですか?」
 名も知らぬ部下の表情が高揚しているのを見てが指摘する。
「ワクワクしているな」
「当然じゃないですか。撃墜王ですよ? 撃墜王」
 そう若い兵は答えたが、はダメだこりゃと思った。
Plunderer
01.When the lie is revealed
 報告のあった少し小さな町に到着し、男の足取りを探す。
 手配書を出し、足取りをたどるのは簡単だった。
 何せ、結構なところで女性たちの敵になっていたのだから、すぐに足取りは掴めた。
 移動酒場で働いている。
 それまで情報が集まれば、小さな町だ。
 後は簡単だ。
 隊長に報告すると、速攻で裁可が下る。
「兵を集めろ、。行くぞ」




「この男はどこだ」
 そう言って眼鏡をかけたうちの隊長、ジェイル=マードックが移動酒場のテーブルに似顔絵を置いた。
「この酒場で働いていたはずだ。この男は、どこだ?」
「さぁ。何日か前にどっかにいってしまいましたよ? 少しの間、雇ってただけなんでどこに行ったかは…」
 移動酒場の店主が答えるが、そんな言葉など、うちの隊長には意味がない。
「お前は、嘘をつくな」
 そう言った瞬間、移動酒場の店主の足が鉄で拘束され、彼女の体が硬直する。
「ちょ! 何これ!?」
「俺の信念の一つでな。嘘をつく人間には容赦しない。いいか、もう一度だけ聞くぞ」
 眼鏡を押さえて、店主をにらみながら告げる。
「リヒトー=バッハは、どこだ……?」
 うちの隊長、ジェイル=マードックは嘘が嫌いだ。
「東に向かったみたいですよ? それ以上はアタシも……」
 だから、それを見抜くのも上手い。
「そうか。聞いたな? お前たち」
「は!」
「ヤツが向かったのは、西だ」
 ドゴ!!
 移動屋台が鉄の針で破壊される。
 店主の悲鳴と客の怯える声が周辺に響くが、うちの隊長はそんな事は気せずに部下の馬車に乗り込んでいく。
「ジェイル中尉。ここから西ですと、リィン曹長が管轄しているホムホゥのあたりですが」
「そうだな。そこに向かえ。総員、装備を磨いておけ。暴れる準備をしろ。行くぞ。撃墜王狩りだ」




 馬を休めて兵たちに休むように伝え、朝に備える。
「ホムホゥに居ると思いますか?」
 食後のお茶を隊長に渡す。
 話題は奴、リヒトー=バッハのことだ。
「リィン曹長が足止めをしていればな」
「まぁ、ですよねぇ」
 地面に座り、持ってきたカップをすすりながら中尉の言葉に答える。
「……いなければ、また探すだけだ」
「ですねぇ」
。貴様、何を考えてる?」
「もし、ヤツが居たとして、あなたが出張ればやることは無いかなぁって思って」
「……貴様」
「撃墜王でしょう? 並の兵士じゃ歯が立たないって予想ついてますよね?」
 それは暗に、バロットホルダーではないかということを意味していた。
「……まぁな」
「状況次第だが、初手は俺がやる」
「了解。じゃ、おやすみなさい。中尉」
 そう言うと俺は立ち上がり、自分のテントに戻っていった。
アトガキ
ジェイル=マードック中尉の副官的立ち位置的な?
2025/10/20 up
管理人 芥屋 芥