少尉」
「なんでしょう? 新城中尉」
 雪が、降っている。
 一面に広がる白い世界が北領の地だ。
「寒いな」
「そうですね」
「中、入るか?」
「いいえ。俺はしばらくこの景……」
「入るぞ」
 有無を言わさず新城がに命令する。
 命令されては、静かに従った。
「はい」
rec -02...
Silent Snows
少尉」
 天幕の中に入って名前を呼ばれた。
「はい」
「貴様は処理できるか?」
「……どうですかね」

「はい」
「……ッ!?」
 静かに腕が伸びてきて、床に引き倒される。
「処理、できるな?」
「どうしても、とおっしゃるなら」
 バチッと視線でやり合うも、先に折れたのはの方だった。
「ま、あんたなら。新城中尉」
「最初からそう言っておけ」
 中尉の手が伸びてきて、口を塞がれた。



 熱い……
 深々と降る外の雪が、天幕の中の熱で溶けてしまうのではないか……
 そう思うほど、中が熱く感じる。
「貴様は……死ぬな」
「わかりっ……ません」
「死ぬな、命令だ」
「命令でも……聞けるかどうか……ですね」
 戦況は芳しくない。
 同期の西田も死んだ。
 残っている手数は少ない。
 そんな絶望的な状況の中で、死なないと約束できる方が珍しい。
「それでも、だ」
 念を押してくる新城中尉に対し、口だけでもは答えた。
「善処……します」
「それでいい」
アトガキ
リクエストくださった方へ。
ありがとうございます。
2025/10/14
管理人 芥屋 芥