なんだここ……?
「次……」
自分は砂の星にいたはずだった。
その惑星は『NoMansLand』と呼ばれていたはずだった。
ヴァッシュ・ザ・スタンピード、通称人間台風が、ドアがずらりと並ぶ部屋に入ってしまったのが運の尽きだろう。
「次って……なに?」
疑問が浮かぶが、それより速く事態は動いた。
ゾワ……という効果音というか世界の音がして、ドアの一つにヴァッシュの体が引っ張られていった。
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Made a Mistake!
「なんじゃ、お前」
「……?!」
いつの時代の人だ?
そう思える人達がお互いの目の前に座っている。
「いや、その……僕は……」
頭をかきヘラりと笑うヴァッシュに、短髪の赤い服を着た男が怒鳴る。
「日ノ本語喋れ!! 南蛮人!」
「日本語?!」
「なんじゃ、喋れるんじゃないか」
「すみません、あの、あなた方は、一体どなた方でしょう?」
「織田前右府信長である」
「……誰?」
「知らんのか?」
「……知ってるような、知らないような……」
「那須資隆与一でございます。ご存じですか?」
「ごめんなさい。知りません……」
「島津家久が子、豊久じゃ」
「すみません、ご存じ上げない……」
「なんじゃ、誰も知らんじゃなか」
「ですねぇ……」
三人の名前を聞いたことがないヴァッシュは、今度は自分が名乗ろうとした。
「僕はヴァッシュ。ヴァッシュ・ザ・スタンピード。呼びにくければ、そうですねぇ、好きな呼び方で呼んでください」
「じゃ、おんしの名は『すたん』じゃ。これでえぇかの」
「えぇ……まぁ、大丈夫……です」
「ところで、すたん。腰のものは、そりゃぁ『銃』か?」
「まぁ、ですね」
ヴァッシュが答えて『俺』を取り出し、三人に見せる。
「ごつか銃じゃ」
「わいるどばんち、の持ってる銃と似とるの」
「そうじゃの」
「銃身が光っとる」
「まぁ、一応手入れはしていますから」
「これも『薬莢』とやらで撃つんか?」
「ですねぇ」
「雷管、か」
雷管と聞いて、豊久と名乗った男と、信長と名乗った男が唸りだす。
「お主は雷管とやらを作れるのか?」
「雷管?! 無理ですよぉ」
そりゃ『普通』だったならな。
しかし『俺』の主は、その『普通』を超えた存在だ。
「そうかぁ。しかし、なんじゃ。おまん、左手は義手か」
「義手です」
「なんぞ、仕込んでねぇか?」
「普通の義手ですよ」
「なるほど」
「ありがとうございます……?」
「ところで、ここは一体?」
「わからん。扉の並んだ通りに飛ばされたと思ったら眼鏡をかけた男がいて、そいつが『次』っていうと、ここに引きずり込まれたわい」
「だれぞ? と問うても答えんかった、薄気味悪か男じゃった」
「そうですね……。ところで、えっと、与一さんはどこに?」
いつの間にか姿を消した長髪の男を探して辺りを見渡すが気配は消えていた。
「あぁ。恐らくエルフ共に弓を教えてるんだろ。あやつは銃は好かんからな」
「そうなんですね……」
「ところで『すたん』」
「はい」
「お前は、どの時代から……この世界に飛ばされた?」
「どの時代って言いますか……?!」
次の瞬間、空間が『裂けた』と言ってもいいかもしれない。
ゾワ……という変な世界の音がして、また引き込まれた。
「いやぁ……これ、どういう状きょ……う?」
「『次』」
アトガキ