そう言って現れたのは浦原だった。
「そろそろ来るだろうなぁって思ってたぜ?喜助」
と、柱にもたれながらの格好で視線だけを浦原に移したが言う。
「なに言ってるんスか。話の途中で抜けたくせに・・・」
近づいて来る浦原に
「なに言ってやがる。俺にとっちゃあの一言があれば十分だよ。」
と言った。
語る背中-02
「コンさん、眠ってるっすね」そう言うと、浦原が杖・・・基斬魄刀を黒崎の額に当てコン本体がその反対側の頭の中から飛び出してきた。
それを静かに浦原が拾うと、それを袖の中に仕舞って足湯へと足をつけた。
「それにしても、ホント昔からあぁいう空気苦手なんすね。」
柱にもたれているを見て、浦原が言う。
「どっちかっていうと、苦手っつうか・・・なんつぅか。受け付けないっていうかな。あの重苦しい雰囲気は四十六室だけで十分だって、俺は思ってるからよ。」
「その四十六室も今や壊滅状態。山本総隊長はさぞや大忙しでしょうね。」
座っている台に手を置いて、浦原が天井を見つめて言う。
その様子を見るともなしに目の端で写して、が言った。
「動きはお前が追放されたときから始まってた。いや、もっと前だってうちの隊長は言っていた。東仙ってヤツが五番隊に引き抜かれたことを知ったとき隊長は俺になんて言ったと思う?」
そこでは言葉を切り、浦原を見た。
続きをと、そんな視線を受けてが続きを口にする。
「『やられた』って言ったんだぜ。あの人がそんなこと言うなんて意外に思ったもんさ。その時からうちの隊長は知ってたってことなんだなぁって、今になって感心してる。すげーよ。裏の隅々にまで精通してるあの人だから、あんな茶番もやったんだろうが・・・」
「茶番・・・ですか?」
しまったと思ったが、既に遅かった。
「あ・・・あのな?喜助。あれは藍染を騙すためにやったことで、別にお前に・・・」
「なんですか?別にワタシのことなんて考えてない、そう言いたいんでしょ?」
帽子の中から覗く鋭い眼光がを捉える。
先に動いたのは浦原の方だった。
「喜・・・っん」
名前を言う前に塞がれた。
ザッという水が揺れる音がしたかと思ったら、それは一瞬のことだった。
「ん・・・」
柱があったのが幸いした。
じゃなかったらきっと後ろに倒されていたか、浦原の腕で支えられていたか。そのどちらかだったろうから。
だけどその柱に頭を抑えられて身動きが取れない。
ようやく解放された時には、既に力は抜けていた。
それでもは抵抗をやめない。
「放せって。」
「イヤですよ。何のためにさっきコンさんの本体を黒崎サンから抜いたと思ってるんですか。それに息、上がってますよ?」
図星を指されて言葉に詰まる。
「正直なところ、ワタシも少々限界でしたから、ねぇ?サン。」
耳元で言われ鳥肌が立つ。
正直、重い話は嫌いじゃない。
だけど、苦手ではある。
重い話は、とことんまで重くしてしまう自分の悪い癖が出るから、できるだけ避けるようにしてるだけだ。
だけど、気晴らしで俺を使うんじゃねぇよ
そう言うと、
「何言ってるんですか。黒崎さん・・・いや、コンさんには触らせたんでしょ?そんなのズルイですから。」
「ん・・・」
柱に背中を預けて、浦原の唇があちこちに触れるのをはただ黙って耐えている。
だけど
「ホント、サンは強情ですね」
スルッと首に腕を回し、浦原が囁く。
「そんな急に変わるか馬鹿野郎」
自分で言ってて余裕ネェなぁと冷静に頭のどこかが思う。
「一回、抜きますね?」
そう言って浦原がスッと体を下ろした。
あぁ、その顔。最高にワタシは好きですよ?
力が完全に抜けたサンを後ろから抱いて、その髪に唇を落とした。
月明かりの加減で、乾いた血の色を僅かに見せるその髪に・・・
最も、サンは嫌ってるみたいですけどね。
それでも、ワタシは好きですよ?
それは、あなたを表すものだから。
「喜助・・・」
腕の中で声がして、「なんですか?」と応えると
「黒崎、返して来い。俺は帰る」
制服を着て、帰ろうとしたの背中に声を掛けようとしたけれど、辞めました。
あぁ、あなたの背中はどうして多くの言葉を語るのか、いつも不思議でしょうがないですよ。
「はい、じゃ待っててくださいね。」
『待ってるから、来い』
そう言っていましたから、そう返事したんですけど・・・
睨まれました。
甘えてくることなんて滅多にないのに。
あぁ、足湯でのワタシの体のこと気遣ってくれてるんですね。
不器用なそんなサンが、ホントワタシは好きですよ。