「あぁ……」
負傷して帰ってきたなんて……一体何があったのか……
事態はそれだけでは済まない。
班員がエレン以外全員死んだ。
――自分が出ていれば……
いや、それは分からない。
ただ……被害は減らせたかもしれない。
それが歯がゆく感じる。
何があったか知らないが、自分が指揮できていれば……
「何考えてる?」
後悔がの胸を押し寄せたところで、兵長からの言葉に遮られた。
「自分が指揮していれば……彼らを死なせずに済んだかもしれないって、そう思ってます」
「……バカか?」
「なんですか……さすがに今回は堪えますよ……作戦立案したの、自分なんですから……」
そう。
誤った作戦概要を手渡しに回ったのも自分であれば、兵士を五年で区切ったのも自分だ。
そして団長はそれを採用した。
「凹んでるな」
「凹んでます。さすがに」
「そうか。そうやって凹んで、何かなるのか?」
「それ慰めてます?」
「まぁな」
「はぁ……次は俺も出たいですが、正直、あなたの警護でも言い渡されそうです」
「そうだな。お前は俺の部下だからな」
「……副長に戻りますよ……多分ね」
「ほぉ。、お前。役職で言われるの嫌いじゃなかったか?」
「覚悟決めたってことです。流石に人手が足りないでしょ? まぁこれまで通り便利屋でもいいですけど」
「そうだな」
Attack on Titan
17.帰還
支持母体への信頼回復は何がいいか。まとまった報告書を持って団長の部屋に持って行くと、アルミンという兵士が話をしようとしていた。
――次から次へと……問題が山積みだ!
そう思うがペコリと挨拶程度に頭を下げると、金髪のアルミンと名乗った兵士が心臓を捧げる敬礼をしてきた。
――いや、畏まらなくていいよ……
そう言いたかったが、そんな空気じゃないことは百も承知で……
「団長、お話があります」
「なんだ」
「今回のことで……その、分かったことがいくつかあります」
「わかった。聞こう。、一足先にリヴァイのところに行ってくれ」
「了解しました」
「団長達、すぐに来ますよ」
「そうか。」
「はい?」
「紅茶だ」
「……了解です」
一足先にリヴァイ兵長とエレンのところに着いたが、リヴァイに言われ紅茶を淹れる。
湯を沸かし、紅茶をポットに入れてからトレーに乗せ、食堂まで持って行く。
「どうぞ」
「あぁ」
差し出した紅茶を当然のように受け取ったリヴァイがその独特な持ち方のまま一口飲んだ。
「エレンも」
「あ……ありがとうございます」
ガタリと音を立てて、が椅子に座って自分で入れた紅茶を飲む。
しばらく沈黙が流れる。
――兵長……気まずいです。なんか言ってくださいよ……
それはエレンも同じだったのか、先に口を開いたのはエレンだった。
「…………さん……て、その……役職はこの班……の副長……で、いいんですよね?」
言いにくそうにエレンが告げる。
先日まで居た班員は、もうリヴァイ本人を残して居なくなってしまったからだ。
――副長言うな……
とは言いたかったけれども、ここまで甚大な被害を出してしまったからにはいい加減覚悟を決めなければならない。
そう判断して、は肯定する。
「そうだね。今回の壁外調査では、俺は援護班だったけど。本来の立ち位置は兵長の部下だよ」
「援護班……」
「そ。最初に巨人の中に飛び込む危険な仕事さ。と言っても、援護できるのは、知っての通り旧市街地までだけど」
「……そうですね」
再び沈黙が下りる。
と同時に、兵長が口を開いた。
「遅ぇな……」
三度沈黙が下りる。
そして、独り言のように兵長が話を続けた。
「エルヴィンの野郎共……待たせやがって。憲兵が先に来ちまうぞ……」
四度目の沈黙だ。
「大方……クソがなかなか出てこなくて困ってんだろうな」
「ハハハ……」
――兵長……それ、慰めてます??
乾いた笑いをするのはエレンだが、の心中はうんざりしていた。
――通じてない。絶対通じてないっすよ! 兵長!!
カチャという微かな音を立てて、カップがソーサーに置かれる。
「兵長……今日は……よく喋りますね」
「バカ言え。俺は元々結構喋る……」
――喋りますよねぇ……特に俺相手だとさぁ……
「……すいません。オレが……あの時……」
――?
「選択を間違えなければ、こんなことに……兵長にもケガまで……」
「言ったろうが。結果は誰にもわからんと」
――ごめんな……オレが発案したばかっかりに……
五度目の沈黙を破るように、ドアがノックされる。
コンコン
「遅れて申し訳ない」
「いえ……」
そして、団長達以外にも二人の新兵が居た。
エレンが彼らを見て名前を言う。
「アルミン? ミカサも……」
そして団長が宣言した。
「女型の巨人と思わしき人物を、見つけた」
と。