「ウソだろ……兵士がやったのか?」
「あぁ。犯人はまだ見つかってないって。夜明け前に二体同時にやられたらしい。見張りが気づいた時には。立体起動で遥か遠くだ」
「二人以上の計画的作戦ってワケか」
「見ろよ、ハンジ分隊長ご乱心だ」
「貴重な被検体なのに……一体どこのバカが……」
「バカじゃなかったら何なんだろうな……見当もつかんよ」
 口々に話す隊員たちを冷静に見て、リヴァイはエレンに告げた。
「行くぞ……後は憲兵団の仕事だ」
「ハ……ハイ」
 答えるエレンの前に、エルヴィン団長が現れる。
「エレン」
「団長! これは一体?」
「君には何が見える? 敵は何だと思う?」
「……はい?」
「すまない……変なことを聞いたな」

「はい」
「行こう」
「了解」
Attack on Titan
14.Why are you asking me?
「どう思う? 
 団長室に入った途端、エルヴィンが尋ねた。
「とりあえず、俺の見解ですが。やはり三人、いえ四人くらいは侵入してると見て間違いないかと」
「なるほど。なぜそう思う?」
「超大型と鎧の二人では少ない気がしますし、五人では巨人が跋扈する壁外を歩くには多いから、ですかねぇ」
「そこは私も同じ考えだ。では、今回捕獲した巨人を殺した理由は?」
「わかりません。が、ハンジ分隊長の実験を阻止しようとしたのかも知れませんが……この場合、やはり動機も理由も不明ですね。巨人憎しで殺した可能性もありますし……」
「なるほどな」
「はい。であるなら、やはり新兵の可能性が高いかもです」
「なぜそう思う?」
「うーん……言葉では難しいのですが、勘のようなもの、でしょうか……」
「なるほどな。しかし君の勘はよく当たる。やはり、例の作戦で行こうと思う」
「エレンを囮に、ですか」
「あぁ」
「……それ、新兵勧誘式の時に言うんでしょう? ……団長。もしその侵入者が入団してこなかったらどうします?」
「入ってくるさ。とはいえ、二手に分かれそうだがな」
 それは、地下室のことを開示することを意味しているのだと、は思った。
「なるほど。鎧も超大型も、人間の時は誰か分かりませんが、俺達は知ってます。と言うことは、残りの一人か二人がエレンを狙う可能性がある、ということですか」
「あぁ。もし狙ってこなければ」
「その時は普通の壁外調査ですよね? 団長」
「そうだ」



――囮……かぁ……
 相手が見えない、狙いが分からない以上、どうしようもない気がする。
 しかし、何故『敵』は……
 そう考えて、の頭がフル回転する。
 今度の壁外調査を考えていると、感覚が広がっていくような気がする。
 全体を見渡し、指揮をして……とりあえず、死者が出ないように必死な時と、こういう調査前に広がる感覚は同じようで少し違うものだ。
「……死者、出るだろうなぁ……どう考えても」
 特に……
 そこまで考えて、は頭を軽く振る。
――考えても仕方ない。俺は、俺のできることをするだけだ。それにしても、折角苦労して生け捕りにしたのに! なんてことしてくれたんだ!!! クソが!!!
 やはり、殺された恨みは消えてなかったようだが。






「結局、無許可で立体機動装置を使った兵士は見つからなかったようだ」
 とエルドが言う。
 それに答えるのはグンタだ。
「一体、誰がやったんだろうな……」
「さぁな……しかし今はこの後の新兵勧誘式の方が心配だ。果たして調査兵団に入団する酔狂な新兵がどれほどいるのか……」
 そんな会話をは聞くともなしに聞いている。
 だが、その心の中は推察に明け暮れていた。
――居る……よなぁ
 と。
「なぁエレン。お前の同期に、ウチを志願する奴はいるのか?」
「いますよ……いえ……いましたが、今はどうかわかりません」
「……そうか」
さんは、どう思いますか? 調査兵団に入りそうな俺の同期は、いそうでしょうか」
――なんで俺?!
 そう思っただが、聞かれて答えないわけにはいかない。
 だから
「なんで俺に聞くの。エレン、君の方がよく知ってるだろうに」
「え……あ……まぁ……ですね」
 その表情は、何故に聞いたのか、本人にもまるで分かっていないような顔をしていた。
アトガキ
兵士の顔
2026/04/05 up
管理人 芥屋 芥