「はい」
 この展開、昼と同じだなぁと思っただが、今度は兵長の後ろを黙ってついて歩く。
――どこ行くんです?
 そう問おうとしては止めた。
 きっと兵長の部屋だと思ったからだ。
 そして、その予想は当たることになる。
Attack on Titan
12.誰のもの?
「入れ」
 ドアを開けて兵長に促されるまま部屋に入る。
 兵長の部屋は、ベッドの他に運び入れたイスと机がある部屋だが、二人とも立ったまま話を始める。
「昼間の作戦の概要だ。エレンは、囮か?」
「はい。団長は、鎧と超大型の外に、もう一人か二人くらい侵入者、この場合『壁外から来た人間に戻れる巨人たち』がいると考えているようです」
「お前も同じ考えか? 
「俺ですか? まぁ、あと一人くらいはいると考えてます。正体は不明ですが」
「……そうか」
「で、概要ですが、とりあえず新人にはそれぞれエレンの場所はランダム表記で。あと、もしエレンを狙う鎧、もしくはその他の意識ある巨人が出た場合は、巨大樹の森に誘い込んで捕らえる予定、となってます」
「その誘い込み役が、俺達というわけか」
「ですね」
「もしエレンを狙ってこなかったら?」
「その時は普通の壁外調査でしょうね」
 何でもないようにが告げる。
「……そうだな」
「恐らく、狙ってくると思いますよ?」
「なぜそう思う?」
「俺は、今回の新人たち、いや、新人含めた熟練者以外の団員の中にエレンと同じ『意識ある巨人たち』がいると考えてます。そして、この前の襲撃でエレンが意識ある巨人だと、新人含めて知ったと思うんで」
「なるほど。エレンをその正体不明の連中が奪うつもりだと?」
「理由も動機も意図も、そしてその正体も能力も不明ですがね」
「なるほどな」
「ですので、今回巨大樹の森に潜むのは熟練者たちだけです。計画の内側を知るのも、熟練者だけになります」
「……そうか」
「その内側に俺を組み込むのは勘弁してほしいんですけどねぇ」
 そうは言えど、作戦立案の時は必ず団長に呼ばれるである。
「奴とお前が組んで意見が一致したときの死亡率が少ないのは事実だからな」
「勘弁してくださいよ。俺はそんな大それた存在じゃないですよぉ」
 ニヘラと笑って力なく肩を落とすに、リヴァイが動いた。
「お前は、てめぇの価値を分かってない」
 何が起きる変わらない壁外調査に於いて、死亡率が下がるということがどれだけ重要なことか。
 その重要性が分からないでもないが、それでも頑なに役職に就く気のない男でもある。
 だから団長であるエルヴィンもまた、出向という形での意思を尊重しているのだが。
「……てめぇはまずそのやる気の無さをなんとかしろ」
 距離を詰め、告げる。
「まぁ……そうなんですけど……ねぇ……」
 目を反らした瞬間を見逃さず、リヴァイが動いた。
「……んっ」
 逃げようとするの頭を押さえて逃げられないようにすると、そのまま深く口づける。
「……ん……ぁ……」
 口が開いたところですかさず舌を入れて空気ごと奪う。
「っ!……んぅ」
 苦しくなったが鼻で息を吸うようになったのを確認してから口を離し、リヴァイはそのままベッドに倒れこんだ。
「……っと……やるんですか?」
 背中から覆い被さってきたリヴァイにが聞いた。
「分かってるなら聞くな」
「……食堂ではハンジさんがエレンと話してるでしょうね」
「話してるというか、アイツの独壇場になっていそうだが」
「それもそうですねぇ。って、どこに手入れてるんですか」

「はい」
「少し黙れ」
「……はい」
 声で本気だと気付いたが静かになる。
「……ん」
 静かな夜に、の静かな声が部屋に響く。
「……ぁ……」
 先に達したの小さな声に合わせて、リヴァイが熱を放つ。
 ビクリとの体が揺れるが、その項に痕が残るくらい強く吸い付いた。
……てめぇは死ぬな……」
「……兵長?」
「今は『兵長』じゃねぇよ」
「口調、昔に戻ってますよ?」
「関係ねぇ。てめぇは死ぬな」
「……努力します」
「そうしてくれ」
「って、見えるところに痕つけないで下さいよ」
「てめぇは誰のモンだ?」
 誰のものでもないと答えたかっただが、ここは違うと一瞬で判断を変える。
 なぜ変えられるのか、自分でもよくわかってないだが、それでもそれが間違っていた試しがないのでこの本能には昔から従うことにしている。
「リヴァイ……ですかねぇ」
「分かってるならいい」
 満足気に少しだけ笑うリヴァイに対し、
「俺としては大変なんですけどねぇ……」
 と言ったのだが、その言葉は見事に無視された。
アトガキ
静かな独占欲
2026/03/06 up
管理人 芥屋 芥