レギュラー戦後,地区予選前/1
放課後,課外授業

レギュラー戦に彼の名前が書かれていたらしいことを,は竜崎先生から聞いていた。

「珍しい事もあるんですね。一年の今の時期から入るなんて。」

職員室でそう言うと,
「ま,手塚の考えだからな。それはそうと,手伝いする気無いのかい?」
「その話は言わないで下さい。別に手伝う為にココに来た訳ではないですから。」
その,『手伝い』の意味を,重々承知しながらもキッパリと断る。
丁度チャイムが鳴って,その話はお開きになった。
次の時間は3-6。

明日くらいに実験ができるな。
と考えながら,教室に入って行く。
最初はざわついていた教室も,が入ると次第に静かになっていく。

は一人一人名前を呼んだ後,

「じゃ,明日の実験の説明するから教科書開いて。」

そうやって概要を伝えていく。

最初の頃は,容赦ない質問がに飛んで来たけれど・・・
今はそんな質問が飛ぶことはない。
彼の,今の生徒的評価は,
『優しいけど,怒ると恐そう。』
だ。

生徒の質問にマジになって考えたり,授業に関係ない事を言っては脱線し・・・




「あ,前の時間言ってた約束な。持ってきたけど,見る?」
その脱線話の運びは上手かった。

『脱線上の約束』に,クラス全体が期待感に包まれる。

は,少し困った様だ。

「大したモノじゃないよ。家で文鎮として使ってるからさ。はい,これだ。」
取り出したのは変な形をした『物体』

まるで,『長餅』だ。

「‥な,なんにゃ?ヘンな形。」

菊丸の声には小さく笑って,

「コレはね?流線型って言うんだよ。」
と。




あれからまた,脱線に脱線を重ね‥。

結局,元の授業内容に話が戻ってしまう。

大回りしながらでも,話を元に戻すのは流石と言うか‥なんと言うか・・・
それでも,生徒は理解出来ているから凄い。


そんな彼が,コートに現れたのは部員が全員帰った後だった。

彼は周りを見て,呟いた。
「もう少しで地区予選か。ホント懐かしいよね。ココ。」
と。




この前,屋上で会った越前リョーマと言う,テニス部員。

多分,彼は越前先輩の息子だ。
それにしても,凄いね。

英語,スペイン語日本語と,色々話せるなんて・・・

そう思いながら,片づけられたテニスコートを見ていた。

先生?」

いきなり声が掛かったから,はびっくりした。
「・・・手塚?」

アレ?帰ったんじゃなかったのか?
それにしても。良かった,校門前で。




そう思ったけど,声には出さない。
先生は,どうしたんです?こんな時間まで。」

「もう帰る所だよ。それより,今まで練習?」

どう見ても,『今練習が終わった所』としかには見えなかったけど。

だけど,彼は首を振った。

「いえ,自分は用事で残ってました。」
「そか。」
じゃ,さっきの言葉は聞いてないな。

「それより,今日菊丸と不二が,先生に変わったモノを見せられたと言ってましたが。」


1組で担当も違う手塚が,何故6組の授業中での出来事を知ってるのか。
その話は,練習中に遡る。



『変わった物体』を見せられた2人は,この場合主に菊丸は,部員達にそれを話していた。

話によると,それは飛行機の部品だという。

一般では決して売られていないモノを,どうしてが持っているのかは,この際問題にはならなかったが。







「見る?」

と,その声で我に返った手塚。

「‥はい。」

返事をもらったは,鞄の中をゴソゴソとやって取りだした。

それは,長餅のような形をしていた。
手塚はどう感想を言おうか,流石に困った。
「初めての感触だろ?」

持たされて,
見た目より軽いんだな

と,そう思ったのは事実だが‥
「YS-11という飛行機の部品さ。」
「Y‥S??」
初めて聞くその名前に,戸惑った。

「ま,オレの趣味みたいなもの。文鎮としても使えるし,腕置きにしても使えるから結構便利なんだ,ソレ。」

「何で,出来てるんですか?鉄ではないんですか?」
手塚は,表面を叩いたりしながら言った。
「大体がアルミかな?鉄も,少しは入ってると思うけど。」
「入ってる?」
「合金だよ,合金。」
それで納得がいったのか,手塚はそれをに返した。
「皆は,飛行機のこと『鉄の塊』って言うけど,ほとんどはアルミだから厳密に言えば違うんだ。」
それを,鞄に入れながら言った。
「どうして,先生はそんなに詳しいんですか?」
「趣味だよ,しゅーみ。」
言って,は伸びた。
「こんな所で話もなんだし,時間も遅いし。帰るか。」
そう言って,彼らは別れた。

アトガキ
なんだかなぁ。
先生って,難しい・・・・・・
2017/07/17 書式修正
管理人 芥屋 芥