「いいんですか?砲雷長に見つかっても知りませんよ?」
がメモを取りながら話す。
足元には、バーボン。
禁酒の艦内では、持ち込めないはずの酒だった。
- So about SAKE -
「何、今回の大量な補給物資の中に紛れ込ませたって、バレる心配はないだろうからな。」
そういうのは角松二佐だ。
あの二人に黙って、この人は稀にこういう無理をしでかすから始末に終えない。
しかもあの二人よりも上官だから尚更性質が悪い。
「知りませんよ?」
と再度が念を押す。
「責任は俺にある。そうだろ?」
その言葉に
「ハイハイ」
といつもの様に返事をして。
全く・・・
没収品として備品庫のダンボールに入れておいてもいい位の禁止物だが、上官直々の命令とあって扱いは普通の食料品だ。
全く。
知りませんからね。どうなっても!
そうは思うが、自身こういう違反には度々目を瞑ってきたから、なんともいえない。
「説得力ないなぁ」と、一人ごちて倉を後にするのだった。
 
 
 
 
「誰ですか?」
夜、当直の巡回時だった。
まさか東進丸の誰かが漁りに来たのか?
と一瞬は身構えたが向こうが声を発したことでそれが誰かすぐに分かった。
「なんだか・・・」
と。
「航海長?ちょ・・・何してるんですこんな時間に?!」
まさか航海長が漁りに来るとは予想してなかったが驚いて思わず大きな声で言ってしまった。
「シッ!声が大きい。」
慌てて静かにするように尾栗が言う。
「何してるんですか」
と。今度はトーンを抑え、呆れたようには言う。
「ん?これから俺、東進丸にちょっくら挨拶に行こうと思っててな。何かないかなぁって探しに来たわけよ。」
そう言いながら、食料箱を漁っている。
その姿には大いにため息をついた。

よりにもよって東進丸の乗員ではなく自艦の幹部それも佐官、しかも航海長という、そんな役職にありながらこうも食料庫を漁るというのは一体どういうことなんだ!
と、呆れすぎてはため息も出ない。
と同時に頭が痛くなってきた。
、お前も手伝え」
そう言われ、更に頭が痛くなる。
大体そう言われてホイそれと手伝えるような役職には自分はいない・・・と思いたい。
「何言って・・・」
何言ってるんですか、そう言おうとして今日の昼に、同じく佐官で、しかもこちらは副長という職にいる人物から持ち込まれた艦内禁止の代物のことをは思い出した。
 
「航海長、いいものがありますよ」

 
ニヤリと笑って、積まれた箱に登り始める。
その様子を黙ってみていた尾栗が彼が最上段の箱から取り出したものを見て口笛を吹いた。
「これ、どうです?」
と、見せたのはバーボン。
「お前、これどっから」
向けられたバーボンの瓶に手を伸ばして尾栗が聞く。
「今日、副長が調達した補給物資の中に紛れ込ませてた物ですよ。どうせ持って行かれるなら、普通の品よりこっちの方がいいでしょう?」
と言って尾栗の手に渡ったバーボンのいきさつを語る。
「あの野郎・・・いつの間にこんなの仕入れてやがったんだ・・・」
酒瓶を目の前に持っていきながら、そう言う尾栗の表情は、明るい。
「お前も行くか?」
二人して箱から降りて尾栗が誘う。
「遠慮しておきます。巡回の続き、ありますからね」
そう言っては断った。
「それにこれから会議でしょう?それまでには」
「戻ってくるさ」
そう言って、尾栗は外へと足を向ける。
手には副長が仕入れたバーボンを持って。
 
 
 
 
全く。
どうせ何か隠して仕入れてることを読んだ航海長の勝ち・・・ということで今回はいいんでしょうかね。副長?
悪いことは出来ないものですよ、ね?
それにしてもまた俺、菊池三佐に呼び出されそうだ・・・
俺は飲めないのに、なんでこう毎回毎回酒関係なんだ!
 
 
 
 
だから、酒。。。されど酒・・・ そんなもんだよ。
アトガキ
やっぱり,酒関係しかほのぼの書けませんでした。
でもこの話,補給科ならではだったのでずっと書きたかったネタなのです。
すみません,おちませんでした・・・
2017/07/16 加筆書式修正
管理人 芥屋 芥