「食事、お持ちしました。それにしても、帰ってきて早々冷や冷やでしたよ艦長」
飯の入ったトレーを持って、ドアから入ってくるなりはそう言った。
We are Return to Mirai
「何、ちょっと挨拶に向かっただけさ。ま、途中尾栗にも心配されたがな」
と、何食わぬ顔でそう言ってみた。
「なるほど。ま、出る前と今とじゃ全然表情違いますから、安心しましたよ。で、見つかったんですか?」
言葉の最初と最後の表情を変えながら、は聞いてきた。
下艦する前に自分が言った言葉を思い出す。
『答えを見つけて帰ってくるさ』と、あの時は見つけるのに必死だったが・・・
「あぁ」
とだけ、答えた。
なら、それだけで分かるだろうからな。
「そうですか。」
それだけを言って、トレーを置いて出て行こうとした奴に後ろから声を掛けた。


、ありがとう」
と。
直後、滅多に見られないキョトンとした表情の後、すぐに微笑に変わったが。
「俺は何もしてないですよ、艦長。」
といい、失礼しましたと言って部屋を出て行った。




まいったなぁ。
まさかあそこであんなこと言われるとは思ってみませんでしたよ、艦長。
と、そこまで思って、しまった!とそこで初めては気がついた。
 
 
 
 
最も大事な、最初に言うべき言葉をすっかり忘れていた自分に少し呆れながら、は元来た廊下を戻っていく。
そして目的のドアの前につくと一気に開けた。
 
 
「真っ先に言わなければならない言葉、忘れてました。おかえりなさい、艦長」
アトガキ
まー・・・そんなこともあるわいな。
2017/07/16 加筆書式修正
管理人 芥屋 芥