LOM
「起きてますね?」
体が密着してるんだ。
上に乗っている人間の変化くらいすぐに分かる。
そして、その体が熱を持っていれば尚更だ。
「いつから、起きてたんです?」
静かに聞いてみた。
「康平の、『抱き枕』っていうところかな・・・それに、奴も俺が起きてることに気付いてたみたいだし。」
この辺りは、やはり付き合いの長さを感じさせる。
それにしても、気付いていながらそれを微塵も感じさせない航海長って、やっぱりさすがだ。
と、は妙なところで感心した。
、すまない。」
謝る声に、首を振って否定する。
だが
「すまない」
もう一度謝って、菊池三佐はキスをしてきた。
 
 
なんか、大型犬になつかれてるような気がする。
いや、菊池三佐はどちらかというと猫っぽいから、巨大猫・・・
ライオンになつかれてる気分か?
いや、三佐はライオンって性質(たち)じゃないよな。
唇が離れると、菊池三佐の表情にある迷いをは感じ取った。
世話の焼ける・・・
これが正直なの感想。
だから自分がリードするしかないと、思った。
「大丈夫ですよ。伊達に自衛官やってません。」
それが了承の言葉。
「何考えてた?」
「なんでもないです」
そして、本人は認めたがらないが、独占欲は・・・強いほうだよな。
「な・・・ちょ・・・菊池さ・・・んぁ」
声が抑えられない。
狭い艦内で、壁も薄い。
下手をすれば隣の・・・
思って手を何とか口に持っていこうとするが寸でで止められた。
「だめだ。」
「ん・・・」
結局、タオルを噛まされた。
くぐもった声が、更に妖艶さを増してることに先に気付いたのはどちらだったのか。
『な・・・どこに・・・』
信じられないところに彼の頭がある。
目を見開いて、慌てて手を伸ばすがそれは遅かった。
『ちょっ・・・三佐!?』
頭を掴んで引き離そうとするけれど、ろくに力が入らずに、まるで誘ってるようにしか見えてないことには気付かない。
『んんっ・・・や・・・』
限界を感じて、は首を振って拒否を示すが、菊池は止まらなかった。
自然と流れる涙に、顔を隠そうと無意識に手が伸びる。
だがそれを掴まれて目を開けると、菊池の顔が真正面にあった。
と同時に、タオルが取り払われる。
荒くなった息を整え、一息つく。
その間、ずっと菊池はの瞳から視線を外さなかった。
だから余計に分かってしまう。
この人が何を迷っているか・・・
「まだ迷ってるんですか?菊池さん」
階級をつけずに呼ぶことなど、久しぶりだった。
そのことに、菊池の目が僅かだが見開かれる。
 
 
 
 
『ん・・・』
体がひっくり返っているような、変な感覚だ。
だが、それ以上の・・・
頭が真っ白になりそうになるのを、必死で理性で止めようとするが、止まらなかった。
今、咥えてるタオル取られたら、何を口走るか分からない。
『・・・あぁ』
「・・・・・・」
その言葉を最後に、俺の意識は飛んでしまった。
 
 
 
 
 
気を失う直前に見た、菊池三佐の顔は、とても美しいのもだってことだけは、ハッキリと覚えている。

アトガキ
イメージ曲は
幻月〜A Tragedian〜 by Sing Like Talking
 
それにしても,痛い系の話になる予定だったのに・・・
やっぱり菊池だと痛い系はトコトン痛い系で,甘々系はとことん甘いな。
この人の痛い系はハッキリいってSマックスだし,主人公の体もちません!(断言)
失神なんてさせてくれませんよ,きっと。だって,腹括れば三羽の中では最強ですからw
2017/07/16 加筆書式修正
管理人 芥屋 芥