VS病人・・・03 >主人公視点
病院で名前を呼ばれるの待っていると、原田さんが目の前を走っていた。
「原田さん、何走ってるの?」
声をかけてみた。だってココ病院だし。
「忙しいんだ。君、キミ次の次だから。それに今日はいつも通りだよ。」
忙しいながらも、患者の順番を覚えてるのは流石看護士である。
それに用件を伝える手際の良さも。
でも、『いつも通り』って?
あぁ、この前の検査の件ね。
だけどさ、あそこまでする事なかったんじゃ・・・ってオレは思うんだけどなぁ。
で、検診が終わったから電話でヤツに知らせる。
時間的には休み時間のハズだ。
「あぁ、裕大か?いま終わったとこ。ん、ハイハイ。じゃ真っ直ぐ帰らせてもらいますよ。」
ったく、なんで行動が読まれてるんだ?
『場外売り場、寄らないでくださいね?』って・・・
オレってそんなに信用ないかぁ?
それに裕大。お前なんでそんな言葉知ってるんだ。
ま、言われなかったら行ったけどね。ってやっぱり読まれてるじゃん。
だって今日は・・・止めよ。ますますアイツは怒りそうだ。
う〜んこの後の予定・・・どうしよかな?
普段なら場外行って競艇見に行って・・・って言うふうになるんだけどな。
仕方ない。
それなら、最終学年まともに行ってなかった我が母校。
青学にでも顔を出してみようかな?
で、なんでまともに呼ばないのか。
だって、正式名青春学園って・・・メチャクチャ恥ずかしいんだって。
早速オレの足は青学へと向かって行った。
着いたのは昼3時過ぎだった。
「やっぱり全然変わってないのな。」
周りを見渡しながらオレは校舎を色々見て回った。
土曜の3時なんて、誰もいないと思ってたんだけど。
だけど、テニスコートには人がいた。
ヤベッ!バァさんじゃん。
急いで隠れた。って言うか何でいるんだ?
その疑問はすぐに晴れた。
そうか‥。考えてみれば関東大会の前なんだよな。今って。
懐かしいなぁ。テニスか。‥もう出来ないんだよな。
今になって、あの時失ったモノはデカかったんだなぁってつくづく思う。
だけど、それが無かったら今のオレはあり得なかったのも事実だから・・・
要は人生捉えようってヤツよ。
で、見つかったら厄介だから黙って立ち去ろうとしたのに・・・
?」
って・・・見つかった。
「お前。どうしたんだ?急に‥」
バァさんがこっちに来る。ヤバイ・・・。部員もこっち見てるし。
逃げるに逃げられん。
「先生、お久しぶりっすね」
イヤイヤながらも答える。
「元気そうじゃないか、
「えぇ。お陰様で。」
う〜〜ん、言葉の端がイヤそうなのはこの際気にしない。
実際イヤだし、って言うか面倒くさい。
「なんだ、イヤそうだな。」
ニヤリと笑って見抜かれた。
「そんなことありませんよ。少し立ち寄っただけですから。」
「そうか。練習、見ていくか?」
「お構いなく、もう行きますから。」
部員が『何事か』とこっちを見ている。
注目されるのがキライなんだよ。だからさっさと立ち去りたのさ。
「先生、その人は・・・」
と、それを阻んだのは‥多分部長。
って言うか、ホントにお前中学生なのか?
そう突っ込みそうになった。
だけど、そんなコト初対面で言える訳ないでしょーが。
だから、
「どうも、です。」
と簡単に自己紹介をしたんだ。
練習も終わりに近づいた頃に、大事なコトを思い出した。
慌てて電話するが・・・時既に遅し?だった。
「あ、大和?オレ。・・・場所は、中学。‥証拠?‥はい!」
と言って竜崎先生に電話を替わる。
しばらく先生と裕大は話していたけど。
「で?えぇ?来るの?」
マジかい。もう終わるぞ、練習。
校門でヤツを待ってたら、向こうから見慣れた人物が!
「って言うか、すっかり忘れてた。すまん。」
謝るが。う〜ん顔が笑ってるぞ、オレ。
「そんな顔したって、どうせ本気で謝って無いでしょうから。」
毒たっぷりだな。
「だから、忘れてたんだって。」
で、ヤツは竜崎先生に挨拶して・・・
「どうも、皆さん。お久しぶりです」
笑顔で言った。
じゃ、この場の中心はヤツに預けて、オレは去ろうかね?
もう『移ってる』のが『見える』からさ。
じゃ、オレは去るからね〜〜。裕大、後よろしく。
そう思って、黙ってその場を後にした。


「やっぱり屋上が最高だ。」
夕方の風が吹き抜ける。
ここはオレのお気に入りだった場所。
病院でも『行方不明』なときは、半分くらいの確率で屋上にいたからな。
よっぽど好きらしい。
「あ、ヒコーキ雲」
夕日に映えて、とても綺麗だった。
「相変わらず、屋上好きですよね。
今の声・・・下から聞こえ‥た?
「上がってくるなら、来たら?」
実は今オレが居るのは・・・屋上の上。つまり踊り場の上だ。
「そんなところに上がるのは、キミくらいですよ。」
「遠慮せずにドーゾ?」
言ってそこから下を見ると‥。
大和と・・・今年度の部長君がいた。
「あ・・・さっきは練習の邪魔して悪かったね。」
言って、降りた。
極力、『知らない』ってことを・・・だけど次の裕大の言葉にオレは驚いた。
「手塚君には、話してありますよ。」
しばらく声が出なかった。って言うより動けなかった。
「・・・あ‥あれ程『言うな』って念を押しただろうが!!!」
はぁぁ。頭‥イテェ。
ヤツを急いでその『手塚君』から遠ざける。
「で、何処まで話した。」
「 全てですよ。それに、一人くらいはいいでしょう?」
なんて呑気なんだ、お前は‥
それに、その笑顔ヤメレ。苦手なんだよ。
「ま、いいや。で、これから打ってくか?時間も遅いし、ここで。」
だれも居なくなったテニスコートに、快音が響いている。
今日、約束してたコトを果たすためだ。
実はオレの方から誘ったんだけどな。
それを『すっぽかした』のもオレだから・・・
ま、遅れたけど、『約束』は履行されたってことで。
許せ、裕大。
アトガキ
続きそう・・・
2017/07/17 書式修正
管理人 芥屋 芥