空の向こうに思いを馳せて、授業はサボるのさ
「幽霊はいるって!」
「いないよ。」
そんな叫んだら、自慢の声が勿体ないぞ
そう言ったら、
「合唱部なんだから大丈夫。だぁぁぁ。話を逸らすなハル。だから、幽霊はだなぁ。この世に絶対いるんだって。」
「いないよ。それより、もう昼休み終わるぞ。」
言って時間を確認した俺を睨む
「どこまでお前は冷静なんだよ。ったく。俺よくこんな冷静なヤツと腐れ縁続いてるよなぁ。」
と、空を見ながら呟いた。
 
 
 
 
「なぁ、ハル。人って、死んだらドコいくのかなぁ。」
珍しい、のシンッとした声。
高くもなく、低くもないが、流石合唱部に入ってるだけあって、声はきれいだ。
「さぁな。」
こればかりは、返事に困る。
何故なら・・・
「俺も、お前も生きてるからな。それだけは、永遠の謎だ。」
そう言うと、フェンスにもたれている背中を浮かせ、手招きした。
ま、予想はついてるけどね。
だけど、予想に反してが言った。
「今日はお前道連れにして、ここで昼寝だ。」
 
 
 
・・・・・・オイ
「俺を巻き込むな。」
「別に構わないって。一回くらい。」
な?
と、まるで悪ガキのような顔をして背中を指した。
「だって、お前の背中広いからさ。」
それは・・・
「お前、俺をベンチ代わりだと思ってるだろ。」
そう言った俺に、は思いっきり頷いた。
しかしその肯定とは裏腹に、背中に掛かる体重が軽い。
恐らくほとんど力を掛けていないのだろう。
「そうだな。そればっかりは、永遠の謎だな。」
いきなり、そう納得したような口調。
「どうした?」
そう聞くと、
「ん?やっぱ幽霊って、人の心の持ちようだと思うんだ。俺は、いるって思ってる。お前はいないって思ってる。」
そこで一度言葉を切って。
「論議するのはやっぱ、間違ってんだよ。心までは動かせないからね。」
なんとも、らしい考え方だ。
こういうところが、俺がこいつに『適わない』と思う一面。
口が、恐らく避けても言えない事。
だから、
らしいな。その考え方。」
とその程度しか言うことが出来ないけれど。
「ほら、す〜〜ぐそうやって馬鹿にする。」
「馬鹿になんてしてない。」
これは、本当。
だけどは信じない。
「してる。だってケン。口笑ってるぞ。」
「そうか?」
「あぁ。」
ま、この程度なら誤魔化したところで分からないだろうから、が気付くまで放っておくことにしてる。
「ホント、昼寝日よりだよな・・・今日ってさ・・・」
その言葉を最後に、背中に掛かる力が増した。
 
 
 
 
 
今日は、初めて授業をサボった。
しかもその情報はすぐ他の組にも伝わったらしく、部活の時色々言われたが。
そんな中、合唱部が歌う声がどこからか聞こえて来る。
どうやら独唱は、らしい。
やはりあいつの声はキレイだ。
普段が普段だったから・・・
というより、その変り様に驚いた。
初めてあいつの歌う声を聞いたときは別人かと思った程に、声が変わる。
「ねぇ、あの声誰にゃ?」
菊丸が不二に聞いている。
「さぁ。あんなキレイな声の人、いたっけ?」
やはり、気付かない。
「ねぇ、乾。あの声、誰?」
 
 
 
あぁ・・・あれは・・・
 
 
 
そう言いかけて止めた。
今は、俺だけの秘密にしておきたいから。
いつかはバレることだが。
 
しかし、授業をサボった甲斐があったな。
の寝顔を真近で拝むことができたのだから。
人当たりがいいのとは裏腹に、あいつは結構人見知りするヤツだから。
写真を撮った・・・なんて、それこそ口が裂けても言えないな。
 
「なぁ・・・乾。なんかあったのかにゃ?」
「さぁ。・・・ただ、初めてじゃないのか?乾が授業サボるなんてさ。」
「その時、なんかあったんだよ、きっとね。」
 
 
 
 
 
何があったのかは、そのとき屋上にいた乾のみぞ知る。
アトガキ
上げよう上げようと考えて,今まで引っ張ったのは,卒論が終わらなかったから;;
いや〜,魔王様はなんでもお見通しだわ^^;

卒論時代の作品が出てきた・・・
2017/07/17 書式修正
管理人 芥屋 芥