なんで知り合い?
「よう、アンタ上手いなぁ。相手してんか」
その馴れ馴れしい声に、 は内心
(新手のナンパか?)と思いながらも、その声の主を振り返った。
「ゆ‥侑士くん?」
その顔を見て、ビックリした様で言う。
「久々やなぁ、兄ぃ」

言いながら、彼はに近づいた。
   
「なんだよ。侑士。知り合いか?」
「あぁ。お前知らんか?」ともう一人を振り返る。
だた彼は
「誰?」
と本当に知らなさそうだ。


「なんや、周り見てへんかったんやなぁ。関東の時におったやろ。」と忍足。
そこまで言っても気付かない。
そこで、忍足は
「オレの兄貴や」と紹介した。
「うそ?!」と彼。
「オイ。変な紹介やめてくれよ。侑士君」
とそこでが口を開いた。
っていいます。ただの先生だよ。よろしく」
右手を差し出しながら、もう一人の方に言った。

「相変わらずやなぁ。」
「うるさいワ。変な紹介すんなって。誤解するやろがね」
「で、なんや。跡部と試合やって、勝ったんやって?」
「うるさいって。言うな。あの場合は不可抗力ってヤツや。無理矢理やったし‥」
「でも、勝ったんやろ」
ボソッと言ってニヤリと笑う。
「試合、してもらうで。兄ぃ」


聞いた瞬間、の体から一気に力が抜けて、

「ジョーダン!やめろって。お前がいるなら、オレ帰る!」
子供みたいに言って、本当に帰ろうとする。
声からして、子供みたいになのに、その態度を見てると、本当に「子供」だ。
「相変わらず声高いなぁ。ええんかな。子供みたいな態度」
言われたはそこで立ち止まって。
 
「‥‥試合、すればいいんだろ、侑?。面倒くさいから、2人まとめてしてあげるよ」
笑いながら言ってたけど、その目は笑っていなかった。
 
「ほんまにええんか?」
「ん?なにが?」
答えたが、ラケットを左で持っている。
それを見た、忍足が、

「やっば。マジや。」
と、小さく言ったとか‥‥‥‥‥‥‥‥
そして、始まった2対1の戦い。
「ホントにいいのかよ?」
「かまわん。本気でいかな、‥負けるで」
 
 
大技、小技。なんでも有りだった。
ロブ、スマッシュ。なんでも返す。
 
 
そして、見たことがない‥‥‥‥‥‥‥‥そのステップ。
 
  「アカン岳人。それは‥」
最後に決まったドロップボレー。
ボールが‥‥‥‥縦方向に回転していた。
まるでコマのように・・・
 
「ゲームセット。ウォンバイ俺。‥だよね?」
 
 
しばらく、そこには沈黙だけがあった。
そこにいた全員が、今の試合を、「信じられない」という目で見ていた。
そんな中、忍足の声だけが、響いた。
「‥バックステップ。完成してたんやな。」
 
 
答えたのは、もうコートの外に移動していた
「ん?あぁ。アレ?。いや、まだ完成した訳じゃないよ。色々と、開発段階。」


この言葉に、さらに息を呑んだ。
「まぁ、滅多にやらないけど。今回は、出血大サービスってことで」
「スンマセンでした。」
 
言いながら、の隣に座った。
「まぁ、色々と言われたからね。子供だとか、声が高いとか、駄々っ子みたいだ、とかさ」
「って、そこまで言うてへんやんか。」
「まぁ、『試合、してもらう』ってのはいいかもしんないけど、『子供みたいな態度』って言われたのは、心外だったなぁ」
聞いてない。
イヤ、そんな訳ない。だって、、笑ってる。
「だから、悪かったって。」
 
 
弱る忍足を横目で見て、
「えーと、岳人君。昼飯食いに行こう」
いきなりな話に、向日の方がついていけない。
「そんな事言わんでぇな。だから、悪かったって。」
更に弱る忍足。
「さって、このうるさいのは放っておいて、飯食いにいきましょう」
さっさと階段を降りてしまう。
 
 
「ちょ‥ちょっと!」
慌てて追いかける忍足。
だけど、そこに彼らの姿はなく‥‥
「‥‥行動、速いって」
 
 
「‥いいんですか?」
「うん。ちょっとした薬。」
実はそこの木のところに隠れていただけなのだった。
 
 
忍足の姿が見えなくなった後、
「じゃ、岳人君。先に下に降りてていいから」
 
 
「なーにやってんの。侑。早く来い。」
階段の所から呼んでやる。
「‥ええんか?」
「いいに決まってるだろ。」
 
 
「早く来ないと、ホントに行っちまうぞ」
慌てて忍足がの所に来た。
 
 
「‥全く。ガキ」
「ガキ言うな。」
階段を降りながら言う。
「図体だけ大きくなってさ。」
「でも、試合したかったのはホンマやで。」
「だったら、素直に言え。試合してくれって。」
「‥‥ハイ」
「素直でよろしい」
 
   
階段も、大分降りたときに。
「今度、シングルスで試合しよう。」
あっさり言ってきたから、面食らったのは忍足の方だった。
「え?」

 
  質問を返したかったけど、岳人が「おーい、遅いぞ」
と声を掛けてきたから‥
 
 
 

  結局、その話は最後まで聞けなかった。
アトガキ
って言うか,あのダブルスコンビを2人まとめて相手をして,しかも勝ってしまったなんて・・・
しかも跡部と試合??う〜〜ん,更に謎多き先生・・・

でもどうして忍足は彼のことを「兄さん」っていうのだろうか・・・
しかも,先生も『侑』って忍足のこと呼んでるし・・・
この辺は更に謎が深まるばかりです。

2017/07/17 書式修正
管理人 芥屋 芥