腕一本分の距離なんだ。
あの先生と、俺との距離。
でも、その差は縮められない。
なんでかって・・・
先生もそれ以上近づいてこないし、何より先輩達がすんげぇガードしてるし。
腕一本分の距離
・・・先生」
英語の授業なんて、簡単すぎてつまらないから屋上でサボリ。
気がつけば名前を呼んでる。
』って。
気になっちゃうんだよね。
あの人。
・・・先生。
空の天気、曇ってきたね。
と越前がそこから下に下りる階段に差し掛かったとき、雨が降ってきた。
そのまま向かった先は図書室。
ガラリッと開けると、案の定誰も居な・・・い。
と思ってたのに。
居た。
しかも、さっきまで俺の頭の中にいた人が。
その人は、書きかけのノートを下敷きにして、横に本を数冊重ねた状態で図書室の長机に突っ伏していた。
 
 
 
 
自分でも判りやすいって思うくらい不自然に、目の前に座る。
他の席なんか、関係ないよ。
ただ、多分滅多に見れないこの人の寝顔をもっとハッキリと見たくて、そうしてるから。
腕一本分。
今なら届くかな。
思わず伸ばした指先が、先生の柔らかい髪に触れる。
いつもなら絶対触らせてくれないのに。
今日は、今は、よっぽど眠りが深いのか、為すがまま。
やっと届いた、その距離。
でも、直ぐにまた離れる距離。
いいね。
挑戦のし甲斐があるよ。
と、持ち前の負けず嫌いで挑むような目をして、目の前で眠るを見ていた。
 
 
 
 
 
 
 
手・・・離してくれないかなぁ・・・
起きるに起きれないじゃないか・・・
全く。越前・・・他にも席は空いてるのに、わざわざ俺の前の席に座らなくてもいいだろ・・・
全く。親子そろって、手のかかる・・・
でもまぁ・・・悪くは・・・ないのかな?
アトガキ
図書室ネタ 小話
2017/07/17 書式修正
2007/07/11 up
管理人 芥屋 芥