沈黙という名の・・・
グロッキーになっている竜崎先生と生徒達を、河村・手塚・大石に命じてイスにそれぞれ運ばせながら、はとりあえずフロントに聞いたことをまとめながら話を付けにいった。
飲み物の持込も怒られたが・・・
その辺りはなんとか誤魔化し、 とりあえず許可をもらったもののボーリングができないのでは営業の邪魔になるので、は無事な大石とボーリングをすることにしたのである。
「へぇ。先生もボーリングするんですね。」
「まあね。俺達が中学生だった頃は第二次ボーリングブームでねぇ。竜崎先生に鍛えられたもんさ。」
とりあえず少し回復しているのだろう。
イスに座っている竜崎先生の方をちらっと見てからボールを投げる。
二アピンだった。
「上手いですね」
大石が言う。
「なんの、大石の方が上手いだろう。」
・・・
「すごいな」
「う・・・うん。すごいね、大石も先生も」
 
 
 
二人とも負けてない。
 
 
 
結局三ゲームやって、二人とも250以上の高スコアを叩き出したのだから・・・すごいとしか言いようがないというかなんというか・・・である。
もちろんガーターがなかったので、二人とも青酢を飲むことはない。
「起きれるかい?」
そう言って背中をさする
「・・・はい。」
「しかし不二まで倒れるとは、乾お前一体なに飲ましたんだよ・・・」
と、半ば呆れ気味のに答えたのは英二だった。
「まっずいお酢・・・だよ、 先生。・・・うっ」
急に起きたので、悪酔い?が頭に来たのだろと判断したは、
「とりあえず寝てろ菊丸。急に体起こすんじゃない。」
そう言って小さく体の力を抜き、菊丸の額に手をあててやった。
「落ち着いたか?」
「・・・う、うん」
その行為に、英二を軽いデジャブが襲った。
 
 
 
 
 
そういやぁ昔、一番上の兄ちゃんが兄ちゃんを家に連れてきたとき、俺は具合が悪くて寝てたっけ。
あの時もこうして悪いところに手を当ててもらったら、落ち着いたんだよなぁ俺。
俺って結構単純かもな。へへ。
などと思っていると、どこからともなく冷たい冷気が流れ込んでくる。
なにされてるの英二。
う・・・
前に言われたっけ、抜け駆けはするなってやつ。
で・・・でも、今回は兄ちゃんからなんだしノーカウントだよ不二・・・
そんな目線の会話を見抜いたのは果たして何人いるかは不明だが、おそらく大多数が気付いただろうと思う。
気付かないのは、だけ。
このあたりは天然だろうか?と疑わせるし、もしくはワザと気付いてない振りをしているのかもしれないが・・・
「大石・手塚・河村、ちょっと」
いきなりが無事な三人を呼び財布を出した。
「スポーツ系のジュース買ってきて。倒れてる人数分とお前等の分」
そう言っては自分の財布を手塚に渡すと、台に未だ置かれてある毒・・・いや失礼ジョッキ青酢を手に取り一気に  
 
 
 
 
飲んだ。
 
 
 
 
 
・・・・・・
 
 
 
 
 
沈黙というより、皆動けないのだから止めようがないことを判ってやっていることは明らかだった。
三人がいれば、止めるだろうってことでジュースを口実に追っ払い、そうして動ける人間がいないことを確信したうえでの行為だったのだ。
 
 
 

 
 
人数分のジュースを買って三人が戻ってくると、皆が固まって誰かの方一点に向いているのがわかった。
そして皆、真っ青になっている。
「どうした?」
原因は、すぐに三人にわかった。
ジョッキが空になっている。
ということは、誰かが飲んだか捨てたか。
動ける人間は自分たちの他に先生しか・・・
そこまで考えて手塚は固まった。
 
 
 
 
 
 
ま・・・まさか・・・
隣にいる大石が真っ青になっている。
ジョッキを・・・飲んだ・・・
う・・・うそだろ?
いくら何でも、それが原因で俺達がこうなってるって話聞いたんでしょ?
なんで飲むんだよそんなの・・・
・・・ま・・・マジかよ・・・
飲んじゃったぜ・・・飲んじゃったよ・・・
あ・・・
せ・・・先生・・・
なにやっとるんじゃあの阿呆は・・・
兄ちゃんが死んじゃった・・・
は大げさだけど・・・救急車用意しなきゃ・・・
あ・・・まさか・・・飲むとは・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
「ふう・・・案外いけるね。これ」
アトガキ
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2017/07/17 書式修正
管理人 芥屋 芥