授業中>英二の独想
うわ・・・
兄ちゃんだ。
始業式の日紹介があったけど、あんなの俺聞いて・・・にゃいし
 
 
それにしても変わってないなぁ兄ちゃん。
 
 
あ!
今、俺呼ぶとき躊躇った!!
まぁ、そりゃそうだろうにゃ。
なんせ大兄ちゃんと同級生だし。
それに家にも何回か来てるし、その時に俺にも会ってるし。
菊丸っていう名前、そうそうあるもんじゃないし・・・ね?
 
 
 
それにしても、相変わらず声高いのにゃ。
中学生の時から変わってないね。その声。
懐かしいなぁ。
 
 
 
アレ?
アレレ?
でも、なんで教壇になんか立ってるの?
テニスは?
あれだけ強くて、でもそれをずっと隠してて・・・
 
 
「菊丸、ボーっとするならこの問題解け」
ゲゲッ!
最悪・・・
そう思って、横にいる不二に助けを求めるけど、不二はニッコリと微笑んだまま動いてくれない。
でも不二。
目、笑ってないよ?
 
 
 
 
こ・・・怖いよ
 
 
 
・・・恐る恐る椅子から立ち、教壇の前に移動する。
黒板を前に、兄ちゃんの顔を見る。
アレ?なんか違和感を感じる。
なんだろう。
アレ?アレレ?
な・・・なんで兄ちゃんの目、色変わってるの?
 
 
真っ黒・・・
 
 
だって、あの時はもっと薄い緑色してたでしょ?
な・・・にゃんで????
 
 
「菊丸、話聞いてなかっただろう」
 
 
え?
えぇ?!
ちょ・・・ちょっとパニック・・・
だ、だって全然ホント・・・十年前会ったときはもっと薄い緑色してたのに・・・
今真っ黒なんだもん。
って、そんなことより!
 
 
 
問題、解けない・・・
 
そんな俺を、兄ちゃんが・・・睨んでる。
こ・・・怖・・・い
 
 
 
だけど、その奥に優しさが少しだけ顔を出してること、俺知ってるもんね。
だから
「解けません・・・」
と、素直に言ってみる。
そう言うと、一息ついて
「これから、ボーっとするなよ?戻れ」
と、少し優しくなった目をしていってくれた。
 
 
トボトボと机に戻る俺に、隣の不二が聞いてくる。
(ボーっとするからだよ?英二。で、先生の顔みて一瞬なんか止まったみたいだけど、どうしたの?)
う〜ん・・・
なんでそこを言ってくるかなぁ・・・
(なんでもないにゃ。不二こそ、解けるんだったら教えてくれたらよかったのに・・・)
(だって、なんか上の空みたいだったからね。)
(ケチ・・・)
 
 
 
でも、なんでテニスの世界から教壇を選んだの?
だって、あれほど強くて。でもずっとそれを抑え込んで。
ラケット持ってコートを駆け回っていた姿を、一度だけ見たことがあるけど・・・
すごく
 
 
 
格好良かった。
 
 
 
いつか、もしできるなら、兄ちゃんと試合がしてみたいって、ずっと思ってたのに。
なんか、悔しいなぁ。
ホント、チョークを持つ姿がすっかり板についてるし。
 
 
 
「プリント配るぞー。この時間できなければ次回収するからな」
そう言ってプリントを回す、『先生』
もう、すっかり本当に先生なんだね、兄ちゃん。
 
 
 
(英二、プリント回ってるよ?)
考え事をしてたら不二に横からそう言われて、前にいる女の子が困ってるのに苦笑いしながら、それでも(ゴメン)と言ってプリントを後ろに回す。
見たら、この前の授業を聞いてたかどうかの判断する内容の問題ばかり。

 
 
 
 
う゛・・・全然解からない・・・
 
 
 
 
 
横をチラッと見ると、不二のシャーペンは、スラスラと動いていた。
 
 
う゛・・・な・・・なんでこんなのが解かるんだろう、皆・・・
 
 
しばらく考えたけど、サッパリ解からない。
解けない・・・
困った。
 
 
 
 
 
えーい。こうなったら解くの止め止め!
 
 
 
プリントを裏返しにして、こう書いて提出した。
 
 
 
 
 
 
『なんでテニス辞めて先生になったの?兄ちゃん。
 今度絶対試合してね!約束だよ?』
アトガキ
兄弟が多い英二君。
一人くらい主人公を知っている人がいてもおかしくない!
と言うコンセプトで書いてみました。
それにしても,やっぱりドリームではないような気がするんは何故??
2017/07/17 書式修正
管理人 芥屋 芥