同窓 −A
何事も無く過ぎていった。
ある日のこと‥‥‥


突然、電話で呼ばれたのだ。
先生、内線3番です」
言われて電話を取る。


その受話器の向こうからいきなり聞こえた声には驚いた。
「よう、。元気だったか?」
?」


そこから聞こえたのは、かつて同じテニス部だった、咲山の声だった。
「お前‥‥。どうしたんだ?いきなり‥‥‥」
急に電話してくるなんて。
しかも、学校に‥‥‥
「って言うか、お前。なんで知ってる?」
(でも良かった。今が授業中で‥)
内心そう思いながらも、声には出さない
「ん?あぁ。情報網を甘く見・る・な・よ。君?お前が母校で働いてるなんて、結構みんな知ってるぜ?」
「な‥マジ?」
「うん。それでな、今日から俺日本に帰るんだ。一応連絡しておこうって思って。それと‥‥」
言って電話を切ってしまった。


その後のの授業は、ほとんどボロボロだった。
普段は絶対に単位ミスなんてしないに、それを連発。
声もすこし疲れたような感じだった。
先生、どうしたんです?」
昼休み、内容の確認に来ていた不二にまで心配をさせてしまった。
「ん?あぁ、すまん。質問だったね。」
「はい。この問題なんですが‥‥‥」
言いながら、過ぎていく昼休み。


今日も、一日終わったか。
明日は‥‥‥‥‥‥休みだ。


しかし‥‥‥本気か?
学校に来るなんて‥‥現役のプロが。


(ま、着くのは明後日って言ってたし‥)
そう思って、テニス部の予定を調べる。
(あ、地区予選の日だ。ま、いいや。って言うかむしろ好都合)
理由は、朝からテニス部関係は誰もいないってコトだ。




−− s i d e   −−


その日、ヤツを空港に迎えに行った。


「でも、お前が先生やってるなんてな。」
「そんなに意外か?」
「あぁ。てっきり親父さんの跡、継ぐんじゃないかって思ってたからさ。」
「バカ言うなって。止めてくれ。」
誰があんな人の跡なんか継がなきゃなんないんだ?
アブネ。ハンドル切るとこだった。
「動揺させんな。危ないだろ」


「‥‥すまん。でも、いいのか?勝手に使って‥‥」
提案しておいて、心配する辺り全然変わってないな。コイツは‥‥
「まぁ、良いんじゃない?一応バァさんには許可取ってあるし‥」
ま、
『手塚には一応話しておくぞ』って言われたけど‥




「あんまり変わってないんだな。」
入るなり、辺りを見て言う。
「そんな急に変わるかよ。ま、変わったって言えばレギュラージャージは変わったぞ?」
「ホントか?」
「うん。背中にローマ字で『青学』って書いてある。」
それを聞いた
「そうか‥‥。やっぱり入れたんだな。」
と、言った。
「ま、昔のジャージ着てても、竜崎センセーくらいしか気付いてないからね」
「‥お前、まだ持ってたのか?」
あきれられた。
ま、そうだよね。10年以上前のジャージをまだ持ってるなんて‥‥
「いいやんか。別に。」


「で、どうすんだ?」
話が変わった。
「わかったよ。先に入っておいてくれ。」
言って、ネットを取ってくる。


これって10年前から‥‥置き場所、変わってない?
オレ達が変えた時まんまじゃねーのか?もしかして‥‥


「懐かしいな。ネット張り」
などと言いながら、オレとはネットを張る。
「じゃ、開始だな。」
そして始まった試合。


があの日電話で話した内容は、
『学校に行くから、試合しよう』って内容だった。
『本気か?』って言うオレに、
『お前倒さないと、帰る意味がないんだよ。部長さん?』
だって。


『オレは現役をもうとっくに引退したの!!』


だけどソレは言えなかった。
タイミング悪くチャイムが鳴ったからだ。



しばらく無言のラリーが続いた。
コートチェンジの時、
「変わってなくて安心したよ、。全然運動してないわけでもなさそうだな。」
「まーね。一応やってるよ。」
「これが引退して5年の動きか?」
「うるさい。」
「ま、これからオレは本気でいくから、覚悟しておけよ?」



多分、ここから試合だ。
だって、さっきは『試合』とは言わなかった。


そして、
その言葉通り、サーブの威力が上がった。
こりゃ『昼行灯』の名前、返上でやらないと‥‥
負けるな。





「ゲームセット。ウォンバイ俺。だな」
「ああ。」

アトガキ
ザンゲ :先輩なら,後輩の試合くらい見に行ってあげたらいいのに‥‥
先生‥‥‥‥‥‥‥‥
で,どっちが勝ったの?って言うか,プロを相手にしてる先生って一体?
2017/07/17 書式修正
管理人 芥屋 芥