は授業がない時間など、よく屋上に足を向ける。
空を見てると、なんだか気持ちが落ち着くのと同時に、決心を再確認できるから。
 
今日は、どうやら先客がいるみたいだ。
屋上から見る景色
「確か、越前リョーマ君だったね?」
は一年を受け持たないから、テニス部員くらいしか一年生の名前が分からない。
でも彼は一発で分かった。
確かに、『そっくり』だ。
と、心の中で少し笑う。
 
 
「アンタ誰。」
開口一番のセリフも、確かにそっくりだと思わせるもの。
 
なーる程ね。こりゃ生意気かも。
そう思いながらは彼の隣に移動して、
「俺の名前、入学式の時紹介されたハズなんだけど・・・ここの先生だよ。」
そう言うと、「ゲッ」と言って降りようとした。
「大丈夫だ。サボってるなんて言う気ないから。」
とことんオレも不良だな。
などと思いながら、頭の思考は別なところを向いていた。
「名前はまだだね。。今年からここで働いている。」
よろしくと言って握手を求めた。
差し出したのは左。
「アンタ・・・」
驚いた様子だったから、
「あれ?違った?」
間違えたかな?



「ふーん。先生って、理科の先生なんだ。」
座って、フェンスにもたれた越前リョ-マに、
「そだね。でもオレ、3年担当だから普段は会わないよ。」
と、彼を見下ろす格好になった
「そーっすよね。で、先生はサボりなんすか?」
不敵な笑顔?だなぁ、オイ。
「人聞きの悪いことを言うなぁ。気分転換だよ、俺はね。」
しばらく、沈黙が降りた。
 
 
 
どこか遠くでカラスが鳴いた・・・
 
 
 
『ま、言う気はないんだけどね』
多分、分からないだろうスペイン語で言ってみた。
そしたら、
『ふ〜〜ん、じゃこのサボりは先生公認なんだ・・・』
そう切り替えされた。



「なんで、話せるの?」
「この前までアメリカにいましたから、オレ。」
あぁ、なる程ね。
と何処か納得してる
「先生こそ、なんで話せるんですか?」
いや‥『なんで』って言われるとちょっと返答しづらいんだけど‥
と思いながら、は正直に話すことにした。
「ま、スペインにいたときがあったんだよ。」
それで納得したのか、彼はまた
「ふ〜〜ん」
と言った。
「でもさ、先生ってなんでそんなに声高いの。」
なんか・・・疑問形になってない質問だな、オイ。
などと思いながらも、やはりこれにも正直に話す。
「声変わりしなかったんだよ。」
これでも、昔よりかはいくらか低くはなってるんだけど・・・
ま、言ったところで理解はされないし、余り信用された試しがないため、は半ばあきらめているが・・・
「それと。先生ってテニスしてた?」



え??
なに???
「あ・・・まぁ、少しね。」
「ふ〜〜ん。」
それを最後に、下からの質問は来なかった。



オレはと言うと、空を眺めて・・・
う〜〜ん、ずい分長く飛行機雲が出てるから、明日は雨か曇りか・・・
そんなことを考えていたら、アッという間にチャイム10分前だった。
「越前、そろそろ帰らないと。」
オレはそう声を掛けたのに、彼はお休み中だった。



‥‥まったく、教師の前で堂々居眠りする生徒がいるなんてね。
イヤ、サボってる自体注意すべきなんだろうけど‥
ま、次は昼休みだし。
このまま寝かせておいても構わないでしょ。



「起きた?」
結局、彼が起きたのは昼休みの半ばだった。
オレはと言うと、自分の飯を持ってきて食べ終わった所だった。
「先生のくせに、起こしてくれなかったっすね。」
開口一番そう言った。
「一応、起こしたよ。でも起きなかった。」
ま、あれで起こした内に入るかどうかは甚だ疑問だけどね。
「‥ま、いいや。」
言うなり彼は、
「どうでもいいけど、足長いんすね。先生って。」



ちょっ‥ちょっと、人が気にしてる事を!!
「やっぱ、地べたに座ると分かるか・・・」
二度とやらん!
って思ってることは、言わない。
「やっぱ、変わってるね。先生。」
か‥変わってるって・・・へ??今・・・
って言った?」
「言ったっす。先生。だから、先生。駄目っすか?」
イヤ・・・そんな不敵な目で『駄目か』と言われても・・・
「いいよ。気にしないから。」
実際、気にしない性格してるからね。
「それはそうと、昼休み。もう終わるんだけど。」
言い終わらない内に、チャイムが鳴った。
そう言えば、次授業が・・・
「じゃオレ次、授業だし。次はサボるなよ。」
と言い残して、オレは屋上を後にした。
アトガキ
不良教師だぁぁぁぁ。
何やってんすか・・・
それと,飛行機雲が長くでていたら雨か曇りというのは,結構当たるみたいです。
曇りっての方が多そうですけど・・・
2017/07/17 書式修正
管理人 芥屋 芥