白鯨考察 〜後半〜
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うーん。気づかれたかな?
まっ、『言うな』とはいったけど、別に『言われるな』とは言ってないからさ。

そう思って会場をフラフラっと歩いていると、
『勝つのは氷帝!!』
とか言う合唱が聞こえてきた。

あーあ。
アレ、まだやってるのかよ。懲りないよなぁ。恥ずかしくないのか?
 
一回アレで俺、試合前だっていうのに大爆笑したからなー。
いやーアレは笑ったね。ホント。
 
まっ、手塚君なら『気は済んだか?』くらいのことは言ってるだろう…(多分)
 
 
自動販売機でジュースを買って、向いのベンチに座っていたら、
「やっぱ。だったか」と、後ろから声が掛かった。

ん?誰だ?
そう思い、頭を巡らす。

そこには、やっぱり『誰だ?』と思わせるような人物が立っていた。

なんで、こんなところにホストがいるんだ?
 
「憶えてないのか?」
と、そいつはとても意外そうに言った。
「すまん。憶えてない」
いや、マジで。

「相変わらずだな。。いや。白髪爺…って言った方が早かったか?」

し・・・白髪?

いや…待てよ?もしかして…
「う…うん。思い出したよ。今、たった今思い出した」
俺のこと『白髪爺』なんて言ったヤツは後にも先にもヤツしかいない!!
「・・・ッ!!」

指を指して俺は思いっきり叫んだ。

「おい、人に指を指すなって親に言われなかったか?」
「うるせー!」

俺は昔っから、コイツだけは苦手なんだ。
なんで今まで忘れてたんだろう。

だが、
「お前、体の方は大丈夫なのか?」
そう聞くと、一瞬辛そうな顔をしたけど、
「もう、長いからな。慣れたよ」
そんなさ。自信満々な顔で言われても説得力ないんだけど…
「相変わらず声高いよなー。お前はさ」
そう言ってゆっくりとベンチに座る。と、同時に俺は自販機へもたれかけた。
うっ、痛い所突いてくるじゃないよ。

「で?お前ウチの後輩だった青竹と、一緒にスカウトやってるんだって?バァさんに聞いた。」
「まぁ…な。アイツも結構人を見る目があってよ。     
コーヒー」
「…そっか。青竹来てるんだ。        
テメェに奢る金はネェ」
「それと、お前ンとこの市河ってヤツとも会ったかな。     
買え」
「い…市河さん?…へぇー来てるんだ      
ったく、分かったよ」

懐かし。
挨拶に行こうっと。

「それはそうと、お前はテニスしねぇのかよ。」
そう言って睨まれた。

鋭いその眼力は変わってはいなかった。
がテニスを出来なくなって、もう何年も経つのに…
「あぁ。しないよ」
「嘘付け」
速攻で返された。
「早いな…」
「テメェ、俺に言葉で勝てるなんて思ってねぇだろうな」
まっ、言うことごもっともですよ。
 
。何故だ?確かにお前は…」
。俺はもう…しない。」
「じゃ、なんでアンクル着けてる?俺の目は誤魔化せんぞ」
やはり、バレていたか。
「いやー。この頃体力の減りが早いからさぁ…」
「茶化すな。言えよ。」
うっ。
相変わらず、逃がしてくれない。
「ったく。お前がいないテニス界に、俺がいる意味がないからだよ。
と、冗談で言ってやる。
 
それで納得したのか、
「言えるんじゃねーか。ま、俺のいないテニス界なんて、お前にとっては面白くなさそうだからな」
またそういうこと言うか!!こンのナルシスト!!!

「で?お前。試合は観ないのか?」
スカウトの選考かなんかで、来たんじゃないのか?
だがはそれには答えずにニヤリと笑い

「お前はこの試合。どう見てる?」
どうって。
「そりゃぁ、手塚君には勝ってほしい…」
「バーカ。んなコト聞いてねぇよ。どっちが勝つかだ。」

うっ、読まれてる。

「…手塚君って言いたい所だけどね。お前ンとこの、跡部君だと思うよ」
「まぁ、個人戦はな」
じゃ、
「団体では別だと?」
「2回戦に進むのは…くやしいが青学だな。」

同じかよ…

「試合、見に行くか?」
「やめとく。一時間は『座りっぱ』になりそうだ。そうなると体に悪い」
なんだよ
「『勝ち』の試合は、見たくないってか」
「テメェと一緒にすんな」
「じゃ、飯でも食いにいくか?」
「おいおい、試合見なくていいのかよ。         
 センセ」
「あぁ。それはあるかもね。しょうがない。 
 ってなんで知ってる」
「さっき、井上さんと話してたろうが」
あぁ。バレバレなのね‥‥
「大きな声で『先生』って言ってたら、イヤでも聞こえる」
「ああ、そうかい。じゃ、ここは先生として試合観戦でもしましょうか」
アトガキ
2017/07/17 書式修正
管理人 芥屋 芥