「で。どうなの? 君ちゃん。仕事の調子は!」
完全に酔っ払っている。
「ちょっと。君、飲みすぎ」
そう言っても、態度が大きくなったは、そんなことお構いなしとばかりに道の真中で叫んだ。
「これが飲まずにいられるかってんだ! コンチクショウ!」
the Worker
「さ、栄転なんだからもう少し喜べよ」
なんて無責任に言うのは気が引けた。
何故なら彼は
「お前なぁ。俺がどれほど子供達と離れたくないか分かってない! 分かってないぞ、成田君!」
と真剣に泣くから。
「まぁまぁ落ち着いて」
と宥めるのも一苦労。
全く。
子供を溺愛するのはいいが、栄転の出張扱い。
要は単身赴任をさせられるというわけで。
仕事としては順調だが、家庭を大事にするには単身赴任は正直辛いだろうな。
と、他人事に思いながら成田は目の前のテーブルに出された焼き鳥を一つ食った。
とは言え。
出世は出世なんだし、まぁ……
しかし、そういうことを素直に喜べないのがのたる所以、なんだろう。
と成田は思う。
は、生き方が下手だ。
なんて考えていたら、横でスーツをグシャグシャのシワだらけにしてテーブルとくっ付いていたが突然声を発したから驚いた。
「成田はいいよなぁ。お前、昔っから生き方っていうか、何でも要領よくこなしてさぁ」
と。
思っていたことがそのまま自分に返ってきたから、おもわず煙草を口から落しそうになった。
恐らくほとんど夢の中だろう。
まぁ、なんていうか。
生き方上手は生き方上手なりに、結構苦労もあるんだけど、な。
まぁ、いいか。
アトガキ