「で。どうなの? 君ちゃん。仕事の調子は!」
 完全に酔っ払っている。
「ちょっと。君、飲みすぎ」
 そう言っても、態度が大きくなったは、そんなことお構いなしとばかりに道の真中で叫んだ。
「これが飲まずにいられるかってんだ! コンチクショウ!」
the Worker
さ、栄転なんだからもう少し喜べよ」
 なんて無責任に言うのは気が引けた。
 何故なら彼は
「お前なぁ。俺がどれほど子供達と離れたくないか分かってない! 分かってないぞ、成田君!」
 と真剣に泣くから。
「まぁまぁ落ち着いて」
 と宥めるのも一苦労。

 全く。
 子供を溺愛するのはいいが、栄転の出張扱い。
 要は単身赴任をさせられるというわけで。
 仕事としては順調だが、家庭を大事にするには単身赴任は正直辛いだろうな。
 と、他人事に思いながら成田は目の前のテーブルに出された焼き鳥を一つ食った。
 とは言え。
 出世は出世なんだし、まぁ……
 しかし、そういうことを素直に喜べないのがたる所以、なんだろう。
 と成田は思う。


 は、生き方が下手だ。
 なんて考えていたら、横でスーツをグシャグシャのシワだらけにしてテーブルとくっ付いていたが突然声を発したから驚いた。
「成田はいいよなぁ。お前、昔っから生き方っていうか、何でも要領よくこなしてさぁ」
 と。
 思っていたことがそのまま自分に返ってきたから、おもわず煙草を口から落しそうになった。
 恐らくほとんど夢の中だろう。
 まぁ、なんていうか。
 生き方上手は生き方上手なりに、結構苦労もあるんだけど、な。
 まぁ、いいか。
アトガキ
働きマン・・・完全に酔っ払いの話
2011/12/28 加筆書式修正
2007/10/26
管理人 芥屋 芥