俺の能力、シギルが何だって?
俺のシギルは『十秒先の未来を見れること』だ。
だから俺は戦いには参加してないし、一般人を装ってる。
筈だったんだけどなぁ
誘いは時に、責任を伴いて
「サンセットレーベンズかぁ」
夕暮れのカラスたち、という、ゲーム内で街を騒がせてるクランが出来てから妙なことが起こった。
頻繁に、解析屋からの連絡が入るようになったのだ。
「なんだよ。解析屋」
学校の屋上に出て、入ってきた連絡先にリダイヤルを押す。
『さん。あなた、須藤要はご存知ですよね?』
「知ってるよ。巷で噂のサンセットレーベンズだろ?」
『えぇ。さん、あなたには、そこに入っていただきたいのです』
「冗談言うなよ。俺なんかの能力なんて、役に立たねぇよ。大体そっちにはシュカがいる」
本名不明、だが名前は通ってる女プレイヤー『シュカ』
別名『無敗の女王』だ。
『シュカさんだって、十秒先の未来は見えません』
「そりゃぁそうだけど……」
ここまで渋って、渋りに渋って、それでもやって来る誘いの電話。
仕方ないと、は折れた。
「分かったよ。入ってみる」
『ありがとうございます』
その言葉とともに、クランへの加入申請が送られてくる。
それにポチっと許可を押すと、は言った。
「だけど、須藤要君は俺のこと信用してくれるかねぇ」
『大丈夫ですよ。あなたの性格などは、シュカさんから入手してますから』
「シュカから?! 一体どーいう?!」
「どうもこうも、私がここの生徒だからね。先生」
「狩野!?」
長い三つ編みが特徴の狩野の声が後ろから掛かった。
「そうか、狩野『朱歌』……だからシュカか」
と、納得しかけたが、安直でもあると気づいた。
「って、安直すぎないか?」
「良いじゃない。申請許可はさっきカナメが出したから、そろそろ連絡くると思うわよ? 『』先生」
「こら! って言うな!」
「いいじゃない。これから私たち仲間になるんだし。それに先生の登録名だって『』なんでしょう? 安直よね」
さっきの自分の言葉を言われ、ぐぅの根も出ないは、言葉に詰まる。
「グッ……俺は戦ったことが無いから別に良いんだよ」
「へぇ。でね、先生に頼むことの一つは、メンバーのリュージに本格的に銃火器の訓練をつけてほしいのよ」
「銃? 俺は扱ったこと無いよ?」
「嘘」
「!?」
「調べはついてるから。嘘はよくないなぁセンセイ?」
「どこで知った」
一段低い声がから出る。
「お、マジになった?」
「一応な。隠してたはずだが、どこで知った?」
「そりゃぁね。シギルに反して身体能力が高いのには訳がある。解析屋の名推理よ」
「なるほどな。俺の裏が欲しかったのか」
「ご明察」
「全く、嫌な責任押しつけんじゃねぇよ」
と言うと
「『大人』でしょーセンセ。ま、がんばって」
と、子供特有の無責任な答えが返ってきた。
アトガキ