泣いて許しを乞えるような男じゃない。
だと言って、この状況をそのままソックリに受け入れるような男でもない。
なぁ、そうだろ? 。
Supremacy
「」
耳元に舌を這わして名前を囁いてやると、ビクッと身体を揺らしてコイツが応える。
顔を真っ赤にしながら唇を噛んで声を抑えている姿は、相変わらずどんな人間よりも格段に違う色香を放つ。
まるで、極上の華の蜜のようにベットに滴るソレと、染料を落としたその金糸の髪と体。
いつまで眺めていても飽きることはなく、ソレを限界まで追い上げてそこから突き落としたい衝動に駆られる。
いや、実際ソレができるのは俺だけなんだが、な。
と、張は考える。
あの一線を越えさせることができるのも、世界でただ一人、己だけ。
ただ一言命令をすれば、コイツは簡単にその一線を、人としての一線を簡単に越える。
そしてその手綱を握っているのは、紛れもなく自分だ。
その手に、足に、首に繋がった鎖に雁字搦めにされた姿が、どれほどまでに妖艶な姿を晒しているか。
それを知っているのもまた、己だけ。
「まだだ。まだ我慢できるだろう? お前は」
後ろから張がを抱いた状態で、前に手を這わせてゆっくりと追い上げていく。
「……っん」
声を抑えようとする唇にもう片方の指を這わせ、そして一言、言う。
「開けろ」
その言葉が絶対的な命令となって、に口を開けさせる。
逆らえない……
「……ん、ふぁ」
閉じることが許されない口から、それでも懸命に抑えようとするの声が止め処なく漏れる。
もう既に張の指は、彼の口の中にはない。
しかし張の言葉がの中に未だ残っていて、彼は口を閉じることができなかった。
ベッドにうつ伏せにされ、さっきから逃げようともがいているが、それでも腰に腕を回され固定されて逃げられない。
そして、今まで拒否の言葉を言わなかったが、その時初めて拒否を示した。
「ィ、ヤダ……旦……ムグッ!」
言い終わる前にベッドに頭を押さえつけられ、黙らせられる。
「……ッン!」
目の前が真っ赤に染まっていくのを、限界がきたの脳が感じていた。
「……ヤッ!」
ベッドのお陰か、その声はハッキリと聞き取れないが、しかし泣いているらしいことはハッキリと分かる。
それでも、その手を張が緩めることは無い。
「気を失うなよ? 最後まで」
そう命令すると、下でかすかに頭が動くのが見えた。
「ちゃんと言葉で言え」
アゴを掴んで無理矢理上向かせ、再度命令を下す。
「……わ、かり……まし、た……」
今度は命令通りに応えたにニヤリと笑うと、その弱点の左肩に舌を這わした。
息遣いだけが聞こえる。
限界が見えない。
やはりこいつは、最高だ。
アトガキ