雨が降ってる。
シトシトと、雨が降っている。
こんな日は、家に居るに限る。
昔から家に一人だったから。
学校から帰って来ても、家には誰も居ない。
母親は、俺を食わすためにずっと病院勤めだ。
だから、こんなのは慣れてるんだ。
でも……
なんでかな。
寂しいなんて……
そんなこと、思えないのに。
俺には、カメラさえあればいい。
「それで好きな物撮っていいよ」
って、見ず知らずのおじさんに言われて始めたカメラだけど……
その人が死んでしばらく経って、『向こうの家』から、迎えが来た。
でも、あんな冷たい家には、行かない。
行きたくない。
だから、せめて大学出るまでは……
独りで居たい。