この命令は、やる・やらない以前の問題で。
こればかりはどうしようもないことだから。
まぁ偶然かもしれないけれど……
でも、名前が挙がったのは自分の名前だったから……
ごめんな隕鉄
やっぱり猫には犬死は似合わないよ……
敵官のあの女に、あの人のことを言うことが、どうやら俺の最期の仕事になりそうだ。
『偶然というには、あまりにも残酷すぎやしないか?』
隊の最後尾で声をかけたのは彼。
「でも、これも命令だからね」
と笑顔で応えたけれど……
「なんか、泣いてるように見えるのは俺だけかな……まぁ、いいさ。西田、帰ってこいよ」
と餞別の言葉をかけてくれた。
「隕鉄……帰ってこいよ。千早が待ってる。当然、俺の独楽もな」
とそう言って……少し笑ったんだ。
どうしてだろう……
こんな絶望的な状況なのに、こんな言葉しか出てこないよ……
ありがとう……