「オイ! これからお前等二人共同時に相手してやる」
そう声を掛けた。
何チンタラやってやがるんだか……
茶渡が信じられないような視線を俺に送るが、んなことぁ知ったこっちゃねぇ。
「お前等、俺に刀抜かせてみろ」
自信たっぷりでそう言う。
言っておくが、俺はそんなに優しくねぇぞ?
「俺はお前等を殺す気でやる。殺されたくなかったら、思いっきりぶつけて来い!」
そう宣言した。
俺に刀すら抜かせなければ、こいつらに勝ち目は到底ない。
扇子を持ってこちらを見ている喜助にチラッと視線をよこす。
確認みたいなもんだった。
『しょうがないですね。許しましょう』
『ありがとよ』
交わした内容っていえばそんなもんだったろう。
来た刀と衝撃波を瞬歩で難なくかわす。
「おせぇよ」
そう言って赤い髪の死神の体に直接けりを入れた。
「お前等、何か勘違いしてないか? こりゃ殺し合いだぜ? しかもこっちはまだ刀抜いてないってのに、お前等なんだよ。覚悟がねぇのかよ覚悟が。俺を殺すっていう覚悟がよ」
そう。
こいつらにはないもの。
真剣な覚悟。
斬る物を持つ故の覚悟。
そこにあるだけの刀はただの刀だ。
使うものによって、それが変わる。
今お前等のやることは、「倒す」ための訓練じゃねぇんだ。
そう言うと、赤い髪の死神と茶渡の顔に真剣さが宿る。
同時に来た。
殺すための意思を持って……
「なんだよ。やればできんじゃねぇか」
悠然とそう呟く俺に、まともに衝撃波が当たった……ように見えた。
僅かに喜助の顔が険しくなるのを、見たからな。
やがて土ぼこりが去り、その中から現れたのは、刀を抜いた奴の姿だった。
名前も知らねぇ死神。
だけど強い死神。
「やればできんじゃねぇか。お前が卍解で、俺だけ始解もしてねぇってのはちょっとハンデをやりすぎる感はあるが、それでも一応クリアってところかな。んじゃ、とことんまで付き合ってもらうぜ? お二人さん!」