『Dolphin Street』
そこは、日々JAZZを愛する人たちが集うひっそりとした場所にたたずむ喫茶店。
日ごろの疲れを好い音楽を聴きながら過ごす、そんな空間。

 カウンターの席に座り、いつものようにコーヒーを頼む。
 そして録音機材のスィッチを入れ、そのバックを床に置いて奥のボックス席の方を見る。
 これから起こることを、記録するために……
Dolphin Steet
   fifth annivers log-part5
 ガタン……
、いけるか?」
「はい。っていうより、榊先生のソロからでしょ?」
「あぁ。だったな」
「なんだよ、英語で話せよ」←英語
「レヴィ、いくらリハだからって演奏前に茶々入れるな」←英語
「はいよ……て、なんだよ銀髪野郎。何ジロジロ見てんだよ」←英語
「い、いえ。あの……僕も次、演奏に入りますので……」←英語
「あっそ」←英語
 カラン


「じゃ『WinterGame』で入って、その後……あ、さん。こんにちは」
「こんにちは。さん、榊さん。それに君。今日は、よろしくお願いします」
「こちらこそ。です」
 ミファソ♪
「うむ」
「榊先生、A下さい」
「なんだ。チューナーを持ってきてないのか?」
「ありますけど、そっちのピアノ441っぽいので合わせます」
「441なんですか?」

 ドサッ
「マスタ、マスター」
「はい?」
「あのですね、今日ドラム、スネアとスティックくらいしか持って来れなくてですね……その、借りる形になるんですけど。いいですか?」
「あぁ、ソノ話ならさんから聞いてますよ。どうぞ」
「ありがとうございます。こんにちは、君」
「どもさん。ところで、今日はもしかして直でここに?」
「あぁ。急いできたものだから、取りに戻ってないんだよ」
「あら」
「ところで君。君がリハから居るってことは、もしかして、もう撮ってる……とか?」
「はい。そりゃバッチリ撮ってます。ちなみにリハも入れてくれっていうリクエストはマスターからですけど」
「マスターが?」
「ハイ。ワタシが君に頼みました」
さん、準備お願いします」
「あ、はい。ちょっと待って。先入るから。座る位置決めるね」
 シャッ……
 カタン
 シャラシャラ……
「っとっと」
「あ、ごめん。君。ちょっと、これ持っててもらっていい?」
「いいですよ」
 シャラ……
 ガチャガチャ……ドゴン
「貸して」
「どうぞ」
 ガタンッガタンッ
 トントンッ……バチンッ! タンタンッ
「オッケーです」
 ドゴ……ガタンガタン……
「ベース、置いていいですか?」
「どうぞ。久しぶりだね、君」
 シャァァァ……バサッ!
「はい」

 トン
 ガチャンガチャン
 ゴソゴソ
、シールド」
 ゴトンガタン
「これ、いいんですか? さん」
「いいよ。ピックアップから出してアンプにつなげるんだろ?」
「はい」
「音、出すぞ」
「榊先生ちょっと待って。ベースのセッティング済んでない」
「すみません。俺が遅れたせいで……」
「いや、君のせいではない。、するなら早くしろ」
「へいへい」


「音出してみて」
「はい」
 ボンボンボンボン……
「マスター、バランス聞いてもらえます?」
「OK」
「じゃ、ちょっと全員でいきますか?」
。なんでお前が仕切るんだ?」
「じゃ、榊先生どうぞ」


「へぇ。なかなか上手いじゃん。だけど私が聞くには上品すぎるってなもんだな」
「……レヴィ、変に絡むなよ」
「わぁってるよ。ここはロアナプラじゃねぇからな」
「ならいいけど」
「なんだよ、私が暴れるって思ってんのか?」
「レヴィ。先に言っとくけどこの声、全部撮られてんだけど……」
「……なッ!?」
「イエス」
「ッチ」


「ところで。今日跡部は来るの?」
「さぁ。来るんじゃないっすか? センセは青学の連中、呼んでるんすか?」
「いや、今日は黙って……」
「なるほどって、そろそろ容量一杯っぽいので、本番に備えてカード換えます」
 ガサガサ……ゴズッ……カチッ


「あーあーあ。電源入ってます。テステステス」
 カチッ


「……だった?」
「はい」
「そか。ところで、今日は隊長さんは呼んでるの?」
「あ、はい」
「そか。あ、君は何飲む?」
 カラン
「俺ですか? じゃ……コーヒーで」
「マスター、コーヒー二つ」
「ワカリマシタ」
「って、君、何やってるの?」
「……はい?」
。勝手に人の会話を撮るな」
「違いますって榊先生。大体俺さっきまで店の外にいたのに」
「じゃ、このマイクここに置いたの……誰?」
「俺じゃないですよ。先生は知ってますよね。俺がカウンターの上に置いて出て行ったの」
「そうだね。電池買いに行くときちゃんとカウンターのとこ……に……」
「どうした急……に……」
「?……う、うわっぁぁぁぁぁぁ!」
『クスクスクス』
「っうっわ?!」
「マイク……浮いてるっ!!!!」


君?」
「ちょ……これは俺が片付けますから!」
 ガタガタガタガタ……カランッ


「市丸隊長……」
「いやぁ、からかうのって楽しいわぁ」
「……やりすぎだ」
「日番谷隊長かって、結構ノリノリで来てたくせに」
「ッチ」
「で? どうすんだ市丸。このマイクが浮いてたの、店の中にいた人全員見てるだぞ?」
「あぁ。そんなこと? それは、こうして……」
 カラン
「はい、終わり」
「お前、この記録はどうする気だ?」
「これは。こうして……」
 カチッ

「へぇ。市丸さんとさんって知り合いだったんですか」
「せやねぇ」
「……まぁ、な」
「ところで君達、兄弟?」
「はぁ?」
「……あ、いや。違いますよ」
「シルバーヘア三兄弟ってか?」
「レヴィ」
「なんだよ。髪の色一緒じゃねぇか」
「えい……ご?」
「英語やねぇ」
「英語だな」
「英語ですねぇ」
「卯ノ花さん?」
「あら、お久しぶりですさん」


「って、そろそろ時間か」


「一旦録音。切りまーす」
 カチッ


「本日は、ご来場いただきまして誠にありがとうございます。えっと、この店のマスターのご好意により生まれましたこの店だけのバンドの演奏ですが、最後までお付き合いくだされば幸いです」


「それでは一曲目。ピアノソロで、 David Foster 『WinterGames』  どうぞ」
アトガキ
お付き合いくださいまして、ありがとうございました。
2012/03/11 加筆書式修正
2007/12/27
管理人 芥屋 芥