「ん……」
熱い。
依頼があるからと、この部屋に来たまでは良かったんだがな。と、熱に浮かされながら男は思う。
ったく、なんだって『こんなこと』になってんだかと、心ココにあらずな様子でいるとそれが伝わったのか、上にいる男がその手で顎を掴んできて、聞いた。
「何を考えている」
「……何も。ただ、俺は話しを聞きに、この家に来たんですけどね。旦那」
サングラスを取ったこの人の素顔は意外にも童顔で、最初見たときは少しだけ驚いた。
だが、それもまた東洋人特有の童顔さだと早々にそのことには触れず、ただ、思った。
――やっぱり、この男か。
と。
初めてマトモに会話したその日、血の臭いが充満した部屋でお互いのことを知った。
それ以来の仲だが、ハッキリ言ってこの男は最低だと、今更ながらに思う。
「話か。さて、そんなものもあったかな。それにしても、アレから一年経つのにな。まだ痕が残ってやがる」
そう言った男の声は、大層不満気だった。
rec -017...
Waying@FrontNoizy