白い雪が静かに降り続いている。
 それは、昨日の晩からずっと降り続け今や世界を白に覆ってしまうほどに、整備された道もその地肌さえ見えなくなって、ただ只管に深々と雪が降り続いているそんな寒い日の朝から、ずっとこの男はここに立ちっぱなしで、コトの成果をじっと待っているのだ。
――いい加減止めばいいのに……
 そう考えながら、男は火を点けた煙草を吸うこともなくただ手に持ったまま足を止め、薄墨色に染まった空をそっと見上げる。
 しかし見上げても、雪が止む気配すら感じられず、気温はさらに下がる一方で。
――寒い。そろそろ限界……
 男はそう思い始め、傍らの車道に止めていた車のドアに手を掛けたその時、誰かが歩いてくる音が近くから届きその音に男が車から顔を戻すとワンブロック先の角から自分と同じ服を着た人間が現れたが、その姿は自分に報告に戻ってきたというよりも、命からがら逃げてきたかのような印象を男に与えた。
 そして何より信じられなかったのが、彼が着ていた服が驚くほどに赤く染まっていることで、彼の血だと思った男がドアに伸ばしていた手を慌てて引っ込めてその人間に小走りで近づき、腕を伸ばしてその肩をつかんで身体を支えてやり、聞いた。
「おい、しっかりしろ」
 編成されて間もない部隊だったが、彼が部下であることには変わりはなく、男はまずそう聞いて彼が頷くのを見、服についた血が男のものではないと認識すると、改めて成果を聞いた。
「どうだった?」
 その質問の答えには、否定は許されないはずだった。
 何故なら、これは極秘に極秘を重ねた任務だったハズだからだ。
 内部でも知る者は一握りしかいない、そんな計画だったハズだからだ。
 だから相手にバレることは……
 しかし、それは見事に否定された。
 いや、最初にこの男が現れたときに満身創痍だったことからして大体の見当はついたのだが、それは認めたくない事が現実のものとなってしまったことを意味する。
「……逃しました」
 今にも倒れそうな男の口から告げられた報告に、男が手に持っていた煙草を思わず落としそうになる。
 やはり……
 それにしても、勘付かれたというのか?
 この計画を?
 ……そんな馬鹿な。
 知れるはずがない。
 直前の報告では、母親ですら我々に気付かなかったハズなのだぞ?
 なのに何故『胎の中』にいる胎児が我々の動きを知ることができるのだ?!
 思わず部下の前で出そうになった心の叫びを男はなんとか堪えて、思ったこととは別の言葉を部下に、告げた。
「追え」
「……は?」
 身体が痛むのだろう。
 返事は、一拍遅れて返ってきた。しかも、命令を否定するような口調で。
 しかし男は、ギリリと怒りに満ちた声で命令を下す。
「聞こえなかったのか? 相手はまだ生まれたばかりの……」
 パンッ!
 どこか遠くで鳴り響く『何か』の音。
 そして次の瞬間には、男の意識は途切れていた。
「あ、あぁ……ッ!」
 目の前で、上官だった男が変わる。
 自分より悲惨な、物へと一瞬で変わる現実に、血まみれの男は言葉を失う。
 やがて残った男が最期に見たものは、己が追っていた生まれたばかりの子供ではなく……
req-no.001...
old talks
「これを私に?」
 昼の賑わいを見せる店内は、いつもよりほんの少しだけ人が多く、また流れている音楽も少し陽気なものが流れている、そんな店のカウンターの一番奥の席に座っている男に女が声を掛け楽しそうに話している。
 しかし女は、男に何かを言いたいのだろうか、様子がソワソワし始めやがて思い切ったように何かを男に渡すその顔は、真っ赤に照れている。
 渡された男の方は、驚いたのだろうか。
 少し呆けた表情を一瞬した後、直ぐに元の表情に戻りそして女性の手を取って言った。
「よろしければ、今夜……」
 ガチャ
 後ろから何か冷たいものが背中に当てられたのを男が感じ取り、恐る恐る振り向くとそこに立っていたのは、金髪の長い髪をバンダナで一括りにまとめた、男と同じ服……とは言え、少々違っていたが、大体同じ服を着た
「中尉……」
 と、その隣に立ち少々呆れた様子で自分を見ていた
「……と、少佐」
 だった。
「何を、していらしたのですか? 大佐」
 そう問い掛けてくる彼女の表情は笑顔だったが、その目は確かに笑っていない。
 どうやら仕事の途中で抜け出したことを相当怒っている様子だが、さて、今日は何か重要なものでもあっただろうか?
 と、大佐と呼ばれた男は考える。
「今日中に上げる書類へのサインをお忘れです。マスタング大佐」
 そう言ったのは、中尉と呼ばれた金髪の女性。
 その言葉で、途中で抜け出してきたことをこの時ようやくマスタングと呼ばれた男は思い出し
「あぁ。そういえばそう……」
 と、まるで他人事のように言葉を言おうとすると、再びガチャリと金属の音がして彼女が言葉を引き継いだ。
「『そうだったな』じゃありません。それにセントラルからの緊急伝も入っています。お戻りください」
 中尉の言葉と、その中に含まれた怒気に思わず彼女の隣に立つに助けを求める。
……」
 しかし、名を呼ばれた彼はただ静かに首を振って事の成り行きを見守っているだけだ。
 孤立無援の状態に男はようやく観念したのか、一息大きく息を吐くと
「分かった」
 と言うと同時に、カチャという金属の音がしてその方を見ると、彼女が握っていた銃が既に元あった場所に収まっていた。
 相変わらずの素早い動きだ。
 そう思ったのは誰だったか。
「さて。私は戻るが、。お前はどうする?」
 外に置いた車を前にして、マスタングが聞く。
 彼に逃げる気がないと判断したのか既に中尉は運転席の中にいて、ドアを開けたままを振り返る彼を見るともなしにジッとしている。
 そしてそう聞かれた彼少佐は、一瞬空を見上げてその申し出を断った。
「いえ。俺はこのまま歩いて帰ります。仕事も終りましたし、これからやることも無いですし」
 と、最後の言葉は完全なイヤミだったが、中尉が彼を連れて来たことからして彼女が自分を探すように頼んだことには違い無さそうだし、サボッた自覚があるマスタングは、ここは何とか耐えてみせる。
「そうか」
 彼の言葉にそれだけ言って答えると、マスタングは車に乗り、運転席に座る部下に向かって
「出してもらおう」
 と言った。
「すみません、遅くなっちゃいました」
 そう言いながら彼は、申し訳無いような顔をして店のドアを開けて入ってきた。
「お、来たか。なぁに、気にすることは無い。注文の本は、届いとるよ」
 と、カウンターの向こうに座っていた店の主が彼の顔を見て言うと、その下から一冊の本を取り出しドザッという重厚な音を立ててカウンターの上に乗せ、ポンポンと本の上についた埃を払いながら、
「これじゃろ?」
 と確認するように、しかし表情は珍しく得意気に店主が確認を取った。
 その本を見て、が驚いたように言った。
「あ、ありがとうございます。あの、店主。ここで読んでいってもいいですか?」
 カウンターに向かいながらお礼を言いつつ、その本に手を伸ばして確かめると、確かに先日自分が注文した本に間違いがなく、の表情は信じられないような、それでいてとても嬉しそうな笑顔でその本を大事そうに腕の中に抱え込む。
 正直言って、見つかるとは思わなかったから。
 だから、嬉しさよりも驚きの方が勝っていた。
 だってこの本は……
「あぁ。構わんよ」
 と、店主はそんなの要望に笑顔で答えると、彼は一礼し、スッと本を持って店の奥にある高い場所に置かれた本を取るための大きな梯子を椅子代わりにして読み始める。
 カサ……カサ……
 本をめくる規則的な音だけが店の中に響く。
 街にある図書館でも読めなくはないが、それでもはこの古書店をよく利用していた。
 ここは何かと融通が利く、それもあるが何より彼が気に入っていたのは店の雰囲気だ。
 明るすぎず、暗すぎず。
 本の文字を追うには、丁度よい明るさに調節された店内。
『長年の経験じゃよ』
 なんて、店主がいつかの時に話してくれたのを思い出す。
 とそこへ新たなドアが開く音がして、顔を上げてドアの方を覗き込むとそこに立っていたのは……
「大佐?」
 カサ……
 というこの紙の音を最後に、店の中から静けさが消える。
「おお、これはこれは。マスタング大佐。今日はどういったご用件で?」
 店の主が驚いた様子で入ってきた客の名前を言い、用件を聞く。
 しかし彼は、その問いかけにスッと手を上げることで制すると、辺りをザッと見回して、やがて目的のところへと足を向けた。
「やはりここか」
「大佐?」
 何故ここへ?
「いや、先ほどのイヤミの件で……な」
 の方に歩いて来て、その目の前に立ったマスタングが見上げるの視線を真っ直ぐに見て答える。
 それにしても仕事は終ったのだろうが、それにしても彼が自ら『天敵』に会いにくるとは……
 何かあったのだろうか?
 そう考えて、ある一つの推論を出してみる。
「大佐。……先ほどの女性と、何かあったのですか?」
 と、がグサリとくる一言をサラリと言った。
「まぁ……な」
 バツが悪そうに、目の前に立つ大佐の表情を見てが一息小さく息を吐く。
「出よう」
 そう言われ、本を持ってが立ち上がり、先ほどからチラリチラリとこちらの様子を見るともなしに見ていた店主に本を預けて、店を出た。
、先ほどは何を読んでいたんだ?」
 歩きながら大佐が聞いてくる。
「……あれは、えっと……」
まさか聞かれるとは思わなかったのだろう、一瞬珍しく驚いた表情をして言葉を濁すに、さらにロイが問い掛ける。
「あれは? 何だ?」
「あれは……昔の台帳です。軍が管理しているものとは別の……民間の人が管理していた、出生の台帳です」
 観念したようにが答えると、次の疑問を聞いてきた。
「何故そんなモノが?」
 と。
 この時の彼の表情がよく見えなかったのは、きっと西日の所為だ。
 と、建物と建物の間から入ってくる強い日差しの光を見ては考え、やがてゆっくりと彼の問いに答える。
「大佐。軍の記録にね、俺の出生が載ってないんです」
「な……に?」
 のその言葉に、驚いた様子でロイが問い返す。
「いや、載ってます。載ってるんですが、俺の記憶とは全然違う、嘘ばかりが書いてあって……」
「俺ね、両親、居ないんです。でも、記録ではいたことになっている。おかしいでしょ?」
 ずっと施設暮らしだったと、は言う。
 しかし、記録では家で育ち、両親が居たことになっている。
 この矛盾を知りたいと、そう思ってあの本をこの店の店主に頼んだとは言う。
 まさか手に入るとは思わなかったとも。
 そして生まれてしばらく経ったときに、軍に襲われたとも。
 何故そこまで古い記憶をはっきりと覚えていられるのかは不明だったが、気付いたときには既に別の施設の中にいてそこで生活をしていたらいしとも。
「でも、その辺りからは、ちょっと曖昧なんです」
―――人並みに
 の言葉をはワザといわずに置いて。
 しかしあの本は、軍にとっては『厄介』な……
 そう。
 あの本は明らかに未承認の、不正規な代物。
 そんなものが出回っていては、軍としても、国としても成り立たない。
「勝手にこんなことして、すみません。大佐」
 でも、どうしても知りたくて。
 記憶と全然違う、記録の存在が正式なシロモノであったことが信じられなくて。
 だから、その違いを確かめるためにあの本を求めた。
 まさか手に入るとは思わなかったから、連絡を貰ったときはとても驚いた。
 本当は直ぐにでも読みたかったけれど、大佐の捜索が入ってきて。
 引き取るのが、遅れてしまった。とも。
「なるほどな」
 一通り話を聞くと、納得したように彼はそう言い、
「えぇ」
 その言葉に、肯定でが返す。
「で、見たのか?」
「……はい」
 結末は、見えている。
 この人は、あの本を燃やしにあの店に来た。
 それに燃やすだけならば、わざわざこの人の錬金術を使う必要はなく、それでいて自分を外に連れ出したのはきっと……
 ここでの考えは打ち切られる。
「軍に襲われたと言ったな」
 唐突にロイがに問いただし、驚いた彼は一瞬遅れて返事をする。
「……はい」
「その時、襲ってきた中に『生き残り』は居なかったかね?」
 その言葉で、が全てを察する。
 と同時に、いつの間につけていたのか、彼のその手袋を見た。
「どうでしょうか。人数も多かったようなので、わかりま……せんッ!」
 パンッ!!
 パチンッ!
 手を叩く音と、指鳴らしの音が同時に響く。
 ボウッ!
 炎が後ろへと伸び、そこに居た一人の人間の周りで燃え始める。
「ウワァァ!」
 と人間の叫び声が上がるのと同時に、その人間の周りでガシャンッという金属の音がしてその音にロイが振り返ると、そこにあったのは周囲の石を使ったそれではなく、鉄の檻だった。
――相変わらず、法則の少し上を行くな。こいつの錬金術は
 と、間近で見たの錬金術にロイはそんな感想を持ったが、今はそんなことに構っている時間はなくて、
「さて。話をするか、それとも消し炭になるか。どちらがいいかね?」
 と、捕らえた男に近づきながらロイが言う。
 その様子を、一歩離れたところから見ていたは、信じられないと言った様子でジッと見ている。
 何故?
「大佐。その男は、俺に用事があ……」
 一歩踏みだしてが二人の間に入ろうとすると、檻の中の男が顔を上げ真っ直ぐ彼を睨んで、言った。
「この化け物が」
 と。
 パチンッ
 再び炎が手袋から上がり、目の前に立つ大佐が本気だと言う事を理解して、それに怯えた男は慌てた様子で
「わ……分かった、分かった! 話すからヤメテクレ」
 と檻の柵を掴み、命だけはと許しを請う。
 するとあちこちから部下が出てきて、何かの作戦が秘密裏に進行していたことを知ることになった。
 その中には、先ほどの金髪の女性、中尉も混じっている。
「大佐、もしかして……?」
 その続きの言葉を遮るようにしてロイは言う。
「これはあくまで独り言だがな。あの本屋に着くまでにつけられていることは分かっていたし、あの本を私が確認した時には既に軍人が管理していた。だから燃やす必要もなくなり、作戦を後をつけていた者の正体を暴く方に切り替えた。それだけのことだ」
 と。
「変更したのはいつですか?」
 檻から出され、連行される男をジッと見ながらが問う。
「私が手ぶらであの店を出たときだ」
「なるほど」
 少し背の高い彼の隣に立って、クスリとが笑う。
「でもソレを上に報告するには、随分強引な屁理屈では?」
 と、恐らく上の命令で動いているのだろう男に、言う。
 が、
「何を言う。屁理屈でも理屈は理屈だし、その辻褄を合わせるのが私の役目だからな。それにお前は軍の人間。軍の管理下に入った物を、軍が潰すわけにはいくまいよ」
 と、作業を行っている部下の様子を見ながらロイが言う。
「あの男の処遇は?」
 あの男には見覚えがある。
 恐らく、自分を襲ってきた部隊の中にいた人間の中の一人。
 生まれたばかりだからと、油断していた部隊長への、その連絡役だった男だ。
 恐怖に満ちた目で自分を見上げて。
 そして、逃した男だ。
 分かる。
 覚えている。
 生まれてしばらくは、全ての記憶が一時的に戻る。
 そして姿も……
 その瞬間に襲ってきたあの部隊は、どうやら自分の特殊性を理解してなかったようで、そして、あの男を除いた全員を……
 しかし何故大佐の後をつけたのか。
 恐らく昼のあの時、あの店で偶然にも一緒にいるところを男が見たからか。それなら何故、あの時分かれた時、自分の後をつけなかったのだろう。
 疑問は残ったが、今は言うべきではないと判断してロイの言葉を待つ。
「セントラルに護送せよ。最終決定は、どうやら上が下すらしい」
「なるほど」
 やはりそうか。
 とは思う。
 今更いえない、軍の秘密。あの時、やはり手に掛けておくべきだったのか。それは分からない。
 何故あの男だけを逃したのかも、自分の過去なのに、ハッキリと掴むことができない。
 霞みの中に、チラチラする自分の昔。そして、恐らくあの男の末路は……
「お前が気にすることではない」
 彼の暗い未来に思いを飛ばしていたに対して、唐突に掛けられた言葉に思わず身体が震えるほど驚いた彼が、顔を上げてロイを見る。
 まさか声を掛けられるとは思わなかったから、本当に驚いた。
「あの男を捕まえたのは私だ。そして、その報告書に書かれる名前も私だ。だから、お前が気にすることはない」
 その言葉は司令官としての、この軍令部のトップとしての責任からか、それともフォローのつもりなのか。ロイは真っ直ぐに働く部下たちを見つめながら、誰ともなしに言う。
「それに、珍しくお前の昔の話も聞けたからな。こちらとしては、それだけで満足だよ」
 言うだけいうと、呼びに来た中尉の方へと足を向け、やがてその場はゆっくりと陽が落ちると共に静寂を取り戻していった。
 暗闇しか、見ることができない。
 東部からセントラルへ移送され、たどり着いたこの部屋は、今まで見たこともないほどの暗闇に覆われて、椅子だけがぼんやりと光の中に浮かんでいるような、そんな部屋だった。
 そんな暗闇のなか、男は椅子に座らされ、詰問を受けている。
 あの男を襲った当時のことから始まり、部屋の中で何があったのか、そしてあの時、あの男の姿を見たのかどうか。
 特に姿に関しては、しつこく何度も何度も質問された。
 覚えている範囲で男は答える。
 背・格好・髪の色、目の色……
 一通り答えてもまだ足らないという風に執拗に問われた質問は、次の瞬間、変わった。
『そうか。では、あの男の今の姿を見て、貴様はどう思った』
「どう思ったって……あの時とは全然違う姿で、正直何がなんだか。事前に教えられていなければ、分からなかったは……ず……」
 やっと違う質問が来た。
 そう思い、男は思ったことをそのまま口にし、言葉の途中でイヤな音が響いたかと思うと、全身から力抜けていきやがて彼の意識は黒い斑点に徐々に覆われて、ドサリという音を立てて椅子から倒れ、どこからともなく現れた軍服を来た男がその場に立ち、誰に告げるでもなく、言った。
「そうか。あの時とは姿が違うか。やはり、そうか」
――所詮は利用……され……ただけか。
 意識が闇に落ちる寸前、男は考える。
 質問者の望む答えを口にした瞬間、自分の価値はゼロになった、というわけか。
 隊長……
 あの時アイツ殺されるのと、今、殺されるのと、どっちが……
 しかし男の想いに答えるものは誰も居らず、ただただ闇が広がる……ばかり……
 ヒラリ……ヒラリ……
 白いものが、舞っている。
 あの時のように、白くて冷たいものが舞っている。
 あぁ、これは、あの時の雪か。
 力が抜けきった体で、最後の想いを込めて男が願う。
 ……
 もし『この先』にお前がいるなら……せめて……
アトガキ
全体的に暗いですが、なんとか。かんとか。
リクエストくださった方へ。
ありがとうございます。
2012/03/13 書式修正
2008/07/23
管理人 芥屋 芥