どこか遠くで絹を裂くような女の悲鳴が聞こえる。
いや、遠くじゃない。
すぐ近くだ。
しかも、叫んでいたのは……
「なーに叫んでんだ、ロック」
だった。
ReverseBlue
「お……お前……か?」
疑いの目をそのまま向けてロックがを見た。
「? どうした?」
そんな視線など受ける覚えの無いは怪訝そうな声で言った。
しかし目の前のロックはどう見ても昨日と変わらないのに
「良かった! お前の性別変わってなくて!」
と抱きいてきたから焦ったのはの方だ。
そして、ロックの後ろから殺気が立ち上る。
「ロック。一体お前はに何してるんだ?」
そう言うとバラライカの旦那が銃を取り出し彼女の頬すれすれところに弾を打ち込んだ。
「相変わらず旦那、射撃の腕高いねー」
と、ちょっとばかし論点がずれたところに感心しながらが言う。
「ダッチ。ちょっとを借りるぞ」
というと、返事を聞く間もなくその腕が伸びてきての首をつかむと事務所のドアを開けて階段を下に下りていった。
「バカだなぁロック。バラライカの旦那がのこと気に入ってるって、知らないのかよ?」
と居なくなった後、レヴィがからかいの声をかけた。
「知らないよ。それよりも、って、なんで……」
そう言うとロックは押し黙った。
なんで、性別が変わってないんだろう。
どうして?
「全く、油断も隙もありはしない。、次の仕事だがな。ラグーンから離れて動いてもらう。久々のフリーの仕事だ」
「報酬は?」
「十万。勿論米ドルでだ」
「ほほう。それなりに厄介な仕事……か」
「そうだ」
部屋の温度が二三度下がったような冷気があたりを覆う。
だが
「というのは冗談でな。ロックがお前にしがみついたから、ちょっとムカッときただけさ。他意はない」
そう言われて、の体がグラリとゆれた。
……
こ……これは、俺はどう判断すればいいのだろうか?
――おいおいおい、それだけ?
というべきなんだろうか、それとも
――う〜ん……旦那。それは……
と言うべきなのだろうか?
果たして俺はどちらに進めばいいんだろう?
などと悩んでいると彼の方から
「というわけで、フリーの仕事はないが……相手をしてもらうぞ?」
そう言ってニヤリと笑う。
その笑みを見ての体が逃げようとする方向へ力が入った。
大体!
俺は!
遊撃隊には入る意思はねぇ!
「ギャ――――――――――――――――――――――――――――――!」
「なぁレヴィ……なんか、悲鳴が聞こえないか?」
「気のせいだ。それよりもロック! あのアロハを着ていけよ!」
アトガキ