『Dolphin Street』

そこは、日々JAZZを愛する人たちが集う場所であり、また日ごろの疲れを話すことによって、好い音楽を聴きながら癒す、そんな空間。
Dolphin Street
   the Cherokee

「オイ
 お前、顔が引きつってんぞ?」
そう言ったのは、銀髪の少年。
「え・・・そう・・・ですか?」
答えたのも銀髪の少年だ。
そして、引きつっているのは、目の前に座る男も同じだった・・・けど・・・
それにしても、あの『ろぼっと』に『偽魂』なんて入れたのは一体誰だ!
って、そんなことは今はいい・・・か。
仕事のことは、ここに来たら忘れろ俺。
なんて日番谷が考えている間にも、テーブルの上での話はどんどん進んでいた。
は?
 できる?アレ・・・」
にそう聞いたのは、だ。
彼は、どちらかというと『乗り気』なようだが・・・?
「い・・・や・・・ちょっと・・・無理っぽそう・・・です」
「俺も、君と同意見・・・かなぁ・・・
 足がつりそうになる」
遠慮しながらも、断りの言葉を発したのは、さっきから顔が引きつっているという男だ。
「俺としては、やりたいんですけど・・・」
「最後に入れるっていうのは?
 カウントは、さんに任せますよ?」
「結局するの?」
「どうしましょうか」
「あの・・・皆さん、何を?」
「あぁ。今度の依頼で、滅茶苦茶早い『チェロキー』という曲をするかどうかっていう話。
 ま、俺の希望としてはやりたい方」
「俺は練習場所が・・・」
「それなら先生ん家(ち)に入り浸ればいい」
「おい。勝手に決めるな
「でも、やるには練習詰めないと、バラバラになる曲ですよ?」
『する』という前提で話しながらも、少し自信なげに言うにカイトが聞く。
「そ・・・んなに難しいんですか?」
そして、それに答えたのは
「ちょっとねー・・・
 ぶっつけ本番でやったら、盛大にコケル曲ではあるよね」
というと、その場にいた全員が頷いた。
今度の春分の日に向けての、曲決めをしている。
マスターからの依頼を受けたのは榊先生らしいけど、今ここには居ない。
全く・・・引き受けたのなら『引き受け主』らしくこの場に居て欲しいものだが、仕事があるらしく、居ないなら居ないなりに集まって曲を決めている。
「それで、練習場所は・・・案の定、俺の家?」
「それ以外にどこがあるんですか。
 あの二階のスタジオ、どう考えたって格好の練習場所でしょ?」
即答したのは
「でも、今はボーカロイドが占領してるんだけどなぁ」
と呟くと
「人間優先」
と、容赦の無い答えが返ってきた。
その言葉に、カイトの表情が少しだけ曇る。
「春の曲。
 流石に『枯葉』は時期外れですから・・・少し明るめのメジャー系の曲多めにしませんか?」
提案したのは、意外にも
「そうだね。
 まだ、時間はあるし。それに今度は彼らも居るし」
それに『乗った』とばかりに答えたのはだが、どこか引っ掛かる言い方をした。
「彼らって?」
聞きかえしたのは
「今度は、ボーカロイドにも参加してもらいましょうよ。
 というわけで、先生。今回は俺も入り浸るんで、よろしく」
と言ってニヤリと笑った。
 
 
 
 
 
「お前は、どうするんだ?」
帰る道の途中、日番谷隊長が聞いてくる。
「参加するからには・・・」
「任務は?」
「・・・あ・・・」
それを言われると、なんだか・・・彼らとの繋がりを少し、ほんの少しだけ否定されたような、そんな感覚に襲われる。
「すみません・・・
 ・・・でも・・・俺は滅多に参加できない・・・ですから・・・」
消え入りそうな声で言うと、日番谷が大きく息を吐く。
「わかった。
 ただし、今回だけだからな」
そう言って振り返ると、そこにあったのは本当に嬉しそうな笑顔。
その笑顔に一瞬見とれた日番谷が、自分の照れを隠すように
「その『チェロキー』っていう曲を、今度俺にも教えろ!」
と言った。
アトガキ
ブリーチメインのいるか通り・・・
それにしても氷帝主。ヒドイ・・・
2023/08/07 script変更
2008/03/01
管理人 芥屋 芥