『Dolphin Street』 そこは、日々JAZZを愛する人たちが集う場所であり、また日ごろの疲れを話すことによって、好い音楽を聴きながら癒す、そんな空間
Dolphin Street
   Finger Stick

「大丈夫ですか?」
店員さんが慌てて店の外に出てくる。
どうやらさっきの、カイトが前につんのめってアイスを盛大に落とした一部始終を見ていたらしい。
「あ・・・ハイ」
が答えるが、肝心のさっき買ったアイスは地面にベットリと落ちている。
で、カイトはと言うと、その落ちたアイスを今にも泣きそうな目で見ながら、
「あ・・・あぁ・・・」
しか言わなくなった。
それを見ていたは、小さく息を吐いて
「すみません。
 新しいの・・・買い・・・」
そう申し入れようとしたときに、店員さんが
「新しいの、作り直してきますね!」
と言うとさっさと店の中に戻っていってしまった。
で、取り残された二人の中一人の顔は真っ青で、一人の顔は呆気に取られていた顔をしていた。
「カイト、大丈夫か?」
未だに表情が暗い彼に、が問う。
しかし、その顔は今でも泣きそうに歪んでいるから、は再度、大きく息を吐いた。
未だ寒さが緩まない冬の夜の元、吐く息も白い。
「店員さんが、新しいの作り直してくれるから。
 行こう」
そう言って彼の手を引っ張って歩くその後ろで、何やら彼が言っていて、
「・・・ゴメンナサイ・・・」
これだけは聞き取れたからがカイトに言う。
「カイトが謝ること無いよ。急に引っ張ったのは俺だから。
 悪いのは俺だから・・・その・・・ごめん」
自分よりも少し背の高いカイトの視線に合わせるようにして、が僅かに視線を上にする。
この時、は初めて気がついた。
「カイトって、案外背、高いんだな・・・」
と言う事に。
「ぅえ?」
急な言葉に対処できなかったのか、カイトがまるで子供のような反応を返す。
「いや・・・普段は小さく感じるけど、やっぱり背、高いんだなって思ってさ」
と言いながら、が店の方へと足を向けたときに、その店の方からさっきの店員さんがカップに入ったアイスを持って出てきて
「はい、どうぞ」
と言ってカイトに渡すと、
「気をつけてくださいね」
と、この言葉はに向けて店員さんが注意してくる。
「はぁ・・・」
一体、何に『気をつけろ』なのこの時は分からなかったが、それでも何とか返事をすると、店員さんは直ぐに再度クルリと身体を回転させ、店の方へと歩いていった。
「あ・・・あの!」
だが、この時点でさっきの分は良しとしても、今回の分の代金を払っていなかったが後ろから声を掛けてみるが、
「代金のことなら、心配しないで下さい。
 店長のおごりですから!」
と言って、そのまま店の中へと入ってしまった。
・・・店長のオゴリって・・・
そう思って、再度店の中を良く見ると店の奥からさっきの店員さんとは別の女の人が、ショーケースの向こうから軽く頭を下げていた。
それを見たも、彼女に軽く頭を下げてから、駐車場へと歩いていった。
 
 
 
 
「食べないの?」
運転する中、さっきから助手席に座ったまま動かないカイトにが聞く。
このまま何もしなければ、カップの中のアイスは、いくら外が寒くとも、車内の暖房でいずれ完全に溶けてしまう。
だから早く食べないと勿体無いのだが、それでもカイトはジッと見つめたまま、そしての問いかけにも返事をしない。
しばらく沈黙が続いたが、やがてポツリとカイトが言った。
「アイス・・・落としてしまって・・・
 これは、マスターが買ってくれたアイスじゃ・・・ない・・・から・・・」
その顔は、やはり今にも泣きそうで、少しだけ悔しそうだった。
「カイト。俺、前々から思ってたんだけど・・・
 お前等兄弟の中で、お前が一番強情って言うか子供っぽいっていうか・・・だよな」
最後の言葉は、は意図的に外してカイトに告げた。
『人間っぽい』という言葉は、彼(ら)にとっては禁句だろうから。
「マスター・・・それ・・・酷いです」
今まで聞いたこともない程の暗い声でカイトが言う。
「じゃ、どうすればお前はそれを食べるんだ?」
何気なく聞いたハズ・・・だったのに・・・
次の彼の言葉に、目が飛び出るかと思うくらいは驚くのだった。
 
 
 
 
 
 
「・・・ほら。あーん」
そう言ってがアイスを掬ってやる。
『マスターが・・・食べさせてください』
そう言ってきたときはは心底驚いた。
そして
『・・・はぁ!?』
と、珍しく信じられないという風に聞きかえしたのだが・・・どうやらカイトは本気だったようで。
『じゃなかったら、僕食べませんから!』
と言われてしまえば、流石に
・・・じゃぁ食うな。
とは言えないのがで。
で、今にいたるのだが・・・
「・・・ん」
「コラ、指まで舐めるな」
そう注意してみるが、カイトはアイスのついた人差し指から離れない。
「アイス・・・ついてますから・・・」
そう言うと、『手』そのものをスッと掴んでしまう。
「付いてない付いてない。ホラ、残りのアイス溶けるてだろ?」
そう言って、まだ三分の一近くカップに残っているアイスを反対の指でさしてカイトに言う。
「ダメです」
「コラ!」
いい加減頭にきたが怒るのだが、
「こっちのほうが・・・甘いから・・・」
そう囁くように言うカイトに、この時点で疑問がわいた。
「お前・・・どうかしたのか?」
と。
「何がですか?」
指先を少しだけ口の中に含みながら、ハッキリと発音しつつ切り返す。
「何がって・・・だって、お前いつもはこんなワガママ言わないだろう?」
明らかに普段の『カイト』とは違う。
「だってアイス・・・マスターの買ってくれたものじゃないから・・・
 マスターは僕にとって、本当に大切な『人』だから・・・」
言い終わると、の手を握る力にグッと力を込め、そして、指の付け根まで一気に口に含んできて、指と指の間に舌を這わしてきた。
「ちょ・・・コラッ止めなさい」
言うが遅かったか、今度は中指まで!
「カイト!!」
が、ちょっと『洒落にならん』という気持ちを込めて、彼の名前を叫ぶ。
「コンビニ寄って買うから!それで機嫌直せ!!」
その言葉に、カイトのパッと表情が明るくなる。
「本当ですか!?」
ガバッと顔を上げ、目をキラキラ輝かせて、の顔を見る目は、まるで子供。
それを見てが大きくため息を吐いた後
「お前、ホンットアイス好きなんだな」
と、少し呆れたようにカイトに言うと
「ハイ!」
というとても元気な返事が返ってきた。
そして、更に言葉を追加した。
「あ、でも、僕が本当に好きなのは、やっぱり、マスターですから」
と。
アトガキ
以下、要反転 ちょっとだけ後悔をしています。
実はね。ボカロで『x』本当はやる気,全然無かったの。
でも走っちゃいました。
ゴメンナサイ!(><)
ウワァァァンそれもこれも,兄さんのせいだぁぁぁ(ヒド!

やっぱり、アイスネタって言えば,指バー・・・(卑猥だなぁオイ)でしょ? え? ちょっと違うって?
マスターもとい、主人公。もしかして,寸止め? いや,自分から寸止めにしたのか。
すみません。これ以上はココ(表)での公開は出来なさそうです。
もし,続きをご希望される方がいらっしゃいましたら拍手からでもご意見ください。

それでは。
猛反省してきます。lll○| ̄|_

2023/08/07 script変更
2008/02/21
管理人 芥屋 芥