Break Down
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隣で死んだように眠るに、そっと唇を落とした。
 
 
「・・・起こしてしもたか?」
「まぁ・・・な」
上半身を起こそうとして、襲った鈍痛に顔をしかめる。
全身がギシギシいってるのが分かった。
「無理させたからなぁ。大丈夫か?」
無神経な忍足の言葉に怒りが込み上げてくるものの、声がまともに出ないし何より体が言うことを聞かないから目で抗議をする。
「そんな顔で見たって、やっぱり誘ってるとしか見えんで?」
「う・・・るさい」
目の前にきた忍足に体が震えるのが分かった。
「そんな怯えんで。手加減できひんかった俺も悪かったから。せやけど最初に言うたやろ?謝るために来たって。あの時、の背負ったもんの半分とは言わんから・・・俺にも分けて。」
起こした体を、再びベッドに押し付けられる。
今度はゆっくりと丁寧に
ベッドで向き合う形となったと忍足。
先に口を開いたのはの方だった。
「まだ分かってないのか?お前は」
「なにが」
「俺がなんで交換条件に応じたかだよ。別にお前を守るとかじゃない。結果がそうなっただけだ」
 
 
 
 
 
 
「別に応じなくても良かった。だけどそれじゃ俺もお前も居場所がなくなる。俺は居場所がなくても、無いならないで対処出来る。だがお前は違う。お前には、あそこしか居場所がない。それに当時のお前に何が出来た?16歳の高校生が教師・・・しかも俺は男だ。当然社会に与える反響も大きいってなんで分からない?だから呑んだんだ。理不尽だと、今でも俺は思ってる。だけどあの時はそうするしか手がなかった。だけどな侑士。背負ったのは俺だけじゃない。条件提示の中にお前にも課せられたものがあったはずだな。二度と俺とは会わないと。あれは・・・あの時未成年だったお前がここから先の人生をまともに歩めるようにするっていうのは、建前なんだよ。」

もう、成人になっている彼には本当のことを言ってもいいかもしれない、とは思う。
だから・・・
「本音のところじゃ、一生後悔して生きろという意味があるんだ。」

 
 
 
 
 
だから・・・会ってしまえば意味がなくなるのに・・・
彼はそれすらも振り切ってここに来た。
本来ならあのとき、振り返っては駄目だったのだ。
本来なら姿を見たとき、声を発しては駄目だったのだ。
本来なら・・・
は、自分に問い掛ける。
『駄目か?』
と・・・
心の奥底で響いた想いは・・・
 
 
 
 
 
 
 
『From:
今日じん性破壊実験でちょっと失敗してしまった。数値が微妙にずれておかしいなぁって思ってたら
って、こんなこと書いてもお前には面白くない内容だよな。すまん。
何とか今年はクリスマス休暇が取れそうだ。いつもお前がこっちに来てくれてるのにまともに相手できないからな ハハハ
まぁ、その穴埋めっていう訳じゃないが、今年は俺がそっちに行こうと思う。状況が許せばだが
じゃ、また明日』
 
ほぼ毎日入るからのメール
たまに運営してるホームページにもお邪魔してくだらないことしゃべって終わる。
日本とスウェーデンの距離は滅茶苦茶遠いけど、それでも繋がってるって今凄く実感してる。
連れて帰られなかったことにやっぱり散々攻められたけど・・・(誰にとは口が裂けても言えんけど)
思い切って行ってよかった。
と今更ながらに思う。
彼の背負ってたものを少しでも軽くできたんやから。
やり方は滅茶苦茶やったけど・・・な
 
 
 
 
 
ま、結果オーライっちゅうこっちゃな。
アトガキ
随分昔に書いたものです。
今回手直しして晒し上げしてみました。

以下、当時のアトガキです。
リンクからどうぞ。



最後に、いいわけめいたもの。@紙片ブログ

2023/08/01 CSS書式
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管理人 芥屋 芥