あったかいお湯に、足だけつけて
そんな幸せをなんというのだろう。
温泉-足湯-
こうしていると、例え何時間だろとボーっとできる。
「あ。サンと・・・瑞橋サン?」
そう言って近づいてきたのは浦原 喜助という、この前初めて名前を知った人。
黒崎のヤロウは「下駄帽子」なんて変なあだ名で呼んでたけど、まぁなんとなく分かるぜ?その気持ち・・・
それにしても、この前知り合ったばっかでもう下駄帽子は(黒崎が言ってるから俺も言ってやる)下の名前で呼んできた。
雲のことは瑞橋っていったくせに・・・なんで俺だけ?
って苗字、コイツには言い難いのかな・・・
まぁ別に気にしないけど。
「こ・・・こんにちは」
途端、雲の様子がヘンになる。
いや、どこがどうヘンになったかなんてことじゃないんだけど、少しだけ雰囲気が固くなった?っていうか、雲のヤロウ、緊張してるのか?
「浦原さんも、入ります?」
そう言って誘ってみた。
途端下駄帽子の顔が明るくなる。
「イインですか?入っちゃって」
「別に、ここは俺たちの場所ってわけじゃないですし・・・どうぞ?」
コイツ・・・誘って欲しかったのか?
「じゃ、遠慮なく」
ワクワクした顔でそう言われても・・・
それにしても、さっきから雲の様子がヘンだ。
下駄帽子が現れてからなんか落ち着いてない。
別に人見知りするようなヤツじゃないだろうに。
てか、こいつがそんなヤロウじゃないことくらい知ってる。
だけど・・・
「ごめん。俺用事思い出したから先帰るわ」
え?
用事?
オイコラ、そんなのがないからココまでワザワザチャリ飛ばしてきたんだろう?
なのに急に用事だって?
「お・・・おい雲!」
さっさと靴を履いて、チャリにまたがって「じゃな」と言って・・・
あっという間に雲の姿が消えてしまった。
「あらあら・・・行っちゃいましたね」
「なんなんだよ急に・・・」
ポリポリと頭をかきながら、少々汗ばんできた首のあたりをタオルで拭く。
そのままタオルを首にかけて、屋根を支えてる柱にもたれかかった。
俺、このまま寝ちまいそうだ・・・
などと思っていると、
サン、追わないんですか?」
ん?
追う?
だれが、誰を?
あぁ・・・
「ヤツが用事っていうからには用事なんでしょ。別に俺が気にすることじゃないですよ。」
「気にしないっていうことですか?」
「そういうことです。どうせ明日学校で捕まるし。今日はここに来ることが用事でしたからね。別に・・・」
「ふ〜ん、信頼されてるんですね。彼のこと」
「信頼?別にそこまでは・・・まぁ、言うなればそれまでのヤツってことですよ。ホントに気になるようなヤツなら追いかけてますって。」
冗談半分でそう言うと、下駄帽子が帽子を取った。
初めて見た。
下駄帽子の下の顔
サンは、ホントに気になる人なら追いかけるんですね」
何故か、確認するようにそう言ってきた。
「場合によるかもな。俺の場合。」
俺今、実は半分眠いです。
そのため、少し頭が回ってません。
「いま逃したら絶対捕まらないやつ限定ってやつかな。それでいてホントに信頼してるヤツなら追いかける・・・かも。」
この言葉は、なんだか・・・
俺なんだけど、俺じゃないヤツが言ったように・・・聞こえた。
 
 
 
水の流れる音が心地よくて、足からポカポカあったかくて。
学校帰り、少し遠回りをして帰ってみたら、足湯って書いてあって、入ってみたら気持ちよかった。
ぬれた足を拭くものがなくて、乾くまで待ってて・・・
今度からはタオルを持ってこようって、心に誓ったものだ。
 
 
 
「起きましたか?」
え・・・天井?
え・・・えーと・・・ここ、何処?
「あのあとサン寝ちゃったものだから連れてきてしまいました。」
ん?
連れてきた?
ってことは・・・
「ここ、浦原商店?」
「ですよ。じゃおやすみなさいサン」
そう言って、障子を閉める下駄帽子・・・いや、浦原さん。
何をすることもないので、とりあえず荷物を確認する。
恐らく俺の服は浦原さんが持っていったのだろう。
カバンくらいしか置いてない。
時計がないこの部屋だから、填めてた時計で時間を確認すると、夜の十二時回ってた。
普段なら起きてる時間だけど、足湯でエネルギー使ったのか、妙な倦怠感もあってなんだか眠い。
なんか・・・着物で寝るのって・・・
初めてなずなのに、そうじゃないような感覚がある。
妙にしっくり来るんだ。
なんだか最近、そんな感覚が拭えないんだよな・・・
色々考えているうちに、俺はいつの間にか眠ってしまったようだ。
アトガキ
続く?てか,今度は喜助視点になりそう〜
で,これのどこが微エロ?
というか,多分喜助視点が微エロになりそう・・・
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管理人 芥屋 芥