「うわぁぁぁぁ」
叫び声が響く。
一心が、作らせたお守りを飛ばす。
「ったく。だから持ち歩かせとけって言ったんだ」
「うるせぇよ。」
そんなやり取りをしながら、悠然と向かってくる一人の死神と人間。
「な・・・あんたらは」
語る背中
「あ・・・あんたら・・・」
「ったく。だからいつでも持ってろって言ったのに・・・」
悠然とコンを挟むようにして立つ一心とに、コンは戸惑う。
「一護の代わりと言っちゃなんだが、俺と遊んでいかねぇか?」
余裕の笑みで、一心が虚に言う。
と同時に、が俺を挟むようにして左側に立つ。
虚からの問いかけに、一心が自分の名前を言う。
そして、
「あー・・・ま、一応名乗っとくか。俺はだ」
だが虚の方は、一心の方に気を向けたようだった。
「ほう・・・」
と。
 
 
「ほらよ、コン」
と言って、一心が俺にお守りを渡す。
「な・・・いつから?」
一心が自分の名前を言ったことに、コンは衝撃を受けた。
最初から、気付かれていた。
そういえば、一心が自分のことを「一護」と呼んだ記憶がないし、呼ばれたこともない。
それにしても、なんで?
「ま、気付かない振りするのは、天下一品だからな。あいつは」
がそう言って頭を掻く。
「一心とやら、わしはお前には興味がない」
と言った虚の言葉にがおどけた口調で言った。
「おーおー、俺は無視かい」
と。
完全に人間の姿をしている、というよりも人間そのもの?のなど、どうやら虚は最初から相手にはしてないようだった。
虚との会話を一心に任せて、が俺の方を見て膝を折った。
「大丈夫かコン。」

「あ・・・あんた」
あのデカイ虚を見ても動じてない、むしろ状況を楽しんでいるに、コンはそれしか言葉が出なかった。
「お前、よく見りゃボロボロじゃねぇかよ」
俺を上から下までジロジロ見てが言う。
「それにしても、よくがんばったな。」
頭に手を置いて、そこで初めてが笑った。
「大丈夫。あんなの一心ならすぐ片付ける。それよりも、虚が怖かったら俺を見てろ」
そう言ったときのの表情は、真剣そのものだった。
だけど、虚の大きさにやはり目がどうしてもいってしまう。
スッとは立ち、俺に背中を向けて虚の方へ向く。
その背中を見て、俺は強烈にその言葉を感じた。

 
 
 
『護る』って。
 
 
 
 
「来てたのか」
「そりゃね。サンも、来てたんですね」
「まぁな」
 
 
な・・・なんなんだよ、この雰囲気は。
滅茶苦茶重いじゃねぇかよ。
あれが、あの親父なのか?
全然違うじゃねぇかよ。
それに、も厳しい顔で一心の言葉を聞いている。
余りにも真剣な会話に、俺は息をほとんどできない。
やがて、
「悪ぃ。俺、ちょいコン送ってくわ。」
そう言って俺を立たせた。
「話、いいんですか?」
そういう浦原さんに
「どうせやることは決まってる。だろ?」
そう言って、俺を連れ出した。
「大丈夫か?」
大分離れた場所でが声を掛けてきた。
俺は余りの緊張しすぎで、すぐに声は出なかった。
その様子には短く息を吐くと
「とりあえず、落ち着けるとこ行くか」
そう言って、家とは逆の方向へと歩き出した。
 
 
「どうだ?」
チャポ・・・
途中のコンビニでタオルを買って。
俺は黙ってについて来た先がここだった。
足が暖かくて涙が出らぁ
「お前、よくこんなところ知ってたな」
そう言うと、屋根を支えている柱にもたれかかって天井を見上げていたがこっちを向いた。
「四ヶ月位前だったかな。偶然見つけたんだ。それよりもお前、よくやったと思うぜ。」
さっき起こったことが、急に思い出されてきた。
それに、あの重たい雰囲気も・・・
「俺もあぁいう空気は苦手なんだよ。どっちかっていうと祭り好きだからな。」
再度天井を見上げてが言う。
いや、あれは苦手とかそういう次元の重さじゃなかった。
息が詰まる位の、重い空気。
それにしても、何故こいつは俺が一護じゃないって分かったんだ?
「お前が一護じゃないってのは、さっき気がついたんだ。詳しい話は端折るけど、俺も死神だぜ?」
なんでコイツは俺が心で思ったことにこう、ズバズバと答えるんだ?
「なぁ、なんでお前俺の言いたいことわかるんだよ。」
そう言うと、の瞳が僅かに見開いた。
「なんでって・・・お前黒崎と違って顔に出るから、分かりやすいんだよ」
 
 
大分、落ち着いた。
緊張が解けて、なんだか眠い。
 
 
 
 
それにしても、強烈に感じたあの背中の言葉。
それだけは、いつまでも俺の中に残っていた。
アトガキ
事後談があります,が,それはまた今度・・・ということでご勘弁くださいませ。
そっちはメインはコンじゃないです。えぇ・・・多分。
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管理人 芥屋 芥