「すまねぇ。これを六番隊のところに持って行ってくれねぇか?」
そういって渡された書類を抱えて、隊舎を出る。


なんだか最近隊長から声がかかるのが多くなった気がする。 などと思いながら、は六番隊隊舎を目指し、廊下を歩いていた。
扉を前にして足が震える。
ここ六番隊は、朽木隊長が束ねる隊でしかも実力者しか残っていないという噂の隊だ。
一介の平である自分が、隊長に印を下さいっていきなり言ってもいいものかどうか・・・
そんな考えが止め処なく頭から溢れてきて、端から見ればただの怪しい奴になりかけていたとき
じゃねぇか。どうしたんださっきから突っ立ったまんまでよ?」
後ろから掛った声に、ビクッと体を揺らせるほど驚いて振り返ると
「阿・・・散井・・・副隊長?」
そう見えるは幻か
「それ、書類か?」
目ざとくの持つ書類に目をやって、言葉を発する恋次に
「はい。」
と消え入りそうな声で返事をする。
その声に恋次は顔をしかめて、
「ったく。テメーは自分に自信がねぇのかよ。」
と、呆れたように言う。
それと同時に観察する。
隊長が言った、あの言葉が未だに信じられないと・・・



は、特別だ』


一体、何が特別なのか。
霊力は恐らく平隊員並だし、斬魄刀の能力だって大したものじゃない。
なのに自分の知らない『何か』を全隊長は知っていて、しかもそれを彼自身に気付かせないように気を使ってる。
いや、全隊長というのは言い過ぎか。
少なくとも自分のところの朽木隊長は知っている。
そして、総隊長も当然知ってるのだろう。
あと知ってる可能性があるのは・・・藍染隊長と・・・
などと考えに耽っていると、急に
「べ・・・別に自信がないわけじゃないんですが、なんか朽木隊長はどうも俺苦手で」
「苦手ねぇ」
自分のところの隊長を、面と向かって苦手といわれては、副隊長としては怒るところなんだろうが、恋次としてはその気持ちはなんとなく理解できるので、
「で、その書類どうする・・・」
話を変えるようにの持つ書類に話をもっていこうとしたとき・・・
「私に用があるのだろう。」


瞬歩での後ろに一気につめた隊長に、言葉を失う。
緊張で表情が固まっているの持つ書類をスッと持つと、朽木隊長は
「印は執務室の中だ。付いて来い」
その際、恋次に視線で語ることも忘れない。


その際、恋次に視線で語ることも忘れない。
 
 
 
 
 
『付いてくるな』

 
 
 
 
恋次は頭を乱暴に掻くと、苦い想いと共に軽く舌打ちをした。
 
 
 
 
 
目の前に、優雅な動作で書類に印を押す朽木隊長がいる。
事務的に渡された書類に、一礼して執務室を出る。
、少し待て」
扉を閉めようとした手が不意に止められる。
・・・え?
少し顔を上げたの唇を掠めるように触れた朽木隊長。
頭が真っ白になっているをよそに、持っていた書類を強引に渡しそのまま部屋を後にした。
 
 
 
 
 
ここに来るときは書類は一つだったのに、戻るときには書類は二つ。
 
 
 
「阿散井副隊長・・・」
廊下でボーっとしてる副隊長に声をかける。
「ん?お前こそ、用事は終わった・・・、お前書類増えてないか?」
「あぁ。さっき・・・朽木隊長に渡されました。でもこれ一体誰に渡せばいいのか分からないんですよね」
「あー。お前宛じゃねぇの?」
あの隊長のことだ。
何も言わないで渡したんだろう。
それにしても・・・
「お前、何かされたか?」
その言葉に顔が変わる。
「えー・・・っと」
「何された」
追求に目を泳がせる。
盛大なため息をつくと、
「まぁ・・・」
そこから後の言葉がでなかった。
「あ・・・アレ?なんで・・・俺・・・」
無意識に流れる涙に自身が驚いている。
それに何より・・・
 
 
 
 
 
 
コイツ!
 
 
 
 
 
纏う空気が・・・透明だ。
空気というか、霊圧が・・・
透明だ。
さっきは気付かなかったのに、なんで今?
・・・まぁ、そんなことはどうでもいいか
「とりあえず、その涙止めろよ。男が泣くもんじゃねぇよ」
「はい」
 
 
 
 
 
気付けば目で追ってる。
あの、空気を・・・もう一度感じたくて追ってるのかもしれない。
。十番隊の平隊員。
だけど、常に誰か・・・
例えば京楽隊長に話し掛けられたり、草鹿副隊長にからかわれたりしてる姿を見てると、どうしても隊長クラスに・・・
 
 
 
 
 
 
ハ・・・
何考えてるんだ俺は・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
だが、それが本当のことだと知るのは、もうすぐそこまで来ていたんだ・・・
アトガキ
ふう 死神サイドは切番じゃないと書けないのかぁぁぁ!と自分突っ込みを入れてみる・・・はぁ。
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管理人 芥屋 芥