・・・こ・・・え・・・
      ・・・
          ・・・
              ・・・き・・・こ・・・え・・・
聞こえ・・・るか?
  
               我の声が。
 
聞こえるならば、応えてくれ。
                         ・・・
静かなる声
?」
ガバッ!
急な小島の呼びかけに、椅子から転げるようには起きた。
「どーしたの?なんか・・・」
「・・・なんでもない。」
小島の言葉を遮って、倒れた椅子を立て直して立ち上がりドアを開けた。



?」
ガバッ!
急な小島の呼びかけに、椅子から転げるようには起きた。
「どーしたの?なんか・・・」
「・・・なんでもない。」
小島の言葉を遮って、倒れた椅子を立て直して立ち上がりドアを開けた。
 
 
 
高校はいってからずっと、『何か』に呼びかけられてるような・・・
兎に角眠れない。
なんなんだ?一体・・・
そう思いながら、向かう先はやはり屋上で。
フェンスにもたれながら、夕焼けに映える空を見上げて目を細める。
 
 
 
「よ。なんかうなされてたって、水色が心配してたぜ?」
後ろから掛る声。
「小島が?」
「あぁ。なんかうなされてたから様子見てきてくれって、さ」
「あんの野郎。こんなときだけ気にしやがって・・・」
続きを言おうとしたの、その先の記憶がない。
 
 
 
 
「オ・・・オイッ!」
 
 
 
 
どこか、遠くで黒崎の声が聞こえる。
だけど、それ以上に近くに聞こえる・・・誰かの声。
懐かしいような、それでいて耳を塞ぎたくなるような・・・
とても複雑な気分になる、その声。
 
 
聞こえるか?
  
               我の声が。
 
聞こえるならば、応えてくれ!
 
 
「大丈夫か?」
次にが気付いたのは、黒崎医院。
ベッドで寝かされて、枕元には黒崎の姿。
「黒崎・・・お前」
「ったく。いきなり倒れてビックリしたぞ。オヤジの診断じゃ寝不足だって言ってたけど。最近、寝てねぇのか?」
そう聞いてくる黒崎には少し苦笑いして、
「まぁ・・・な」
「どーしたよ。お前らしくねぇなぁ」
すかさず突っ込みを入れる黒崎に、更には苦笑いする。
 
 
 
 
しばらく、そうやって二人して黙っていたが、先に言葉を発したのはの方だった。
「最初はな・・・空耳だと・・・思ったんだ。」
言い難そうに言うに、一護が眉間にしわを寄せる。
その顔を見てがかすかに苦笑し、言った。
「お前がそういう顔するときって、聞いていいかどうか判断が迷ってるとき・・・だよな。」
 
 
 
 
高校から知り合った仲間。
その中でも特には、最後の最後で友人と呼べる仲になった。
それまでは、全然知らなくて。
きっかけなんて、もうとっくに忘れたけど、は絶対に俺たちを名前やあだ名で呼ぶことはしない。
水色のことは小島って言うし、ケイゴのことは浅野って呼ぶし。チャドにしたって、ちゃんと茶渡って。
俺のことも・・・『黒崎』から発展しない。
だけど例外が一人だけいた。
クラスは違うけど・・・
「なんだよ。言えよ」
「変なヤツだと、思わないか?」
その言葉に頷く。
思うわけねぇ。
幽霊が、子供のころから見えてる俺だ。
今更不思議なものなんて・・・
それに満足したのか、はポツポツと話し出した。
 
 
「最初はな、ホント空耳だと思ったんだ。高校入ってすぐに、夢の中で誰かに呼ばれるような、そんな感じがして。それが段々その声が明確に聞こえるようになっていって・・・」
自分の手を見つめながら話すに、俺は黙って話しを聞いてやる。
「なんかその声聞いてると、上手く言えないんだけど、複雑な気分になるんだ。聞きたいような、聞きたくないような・・・いや・・・最近は応えたいような、応えた

くないような・・・かな。」
「応える?」
「あぁ。声がはっきり聞こえるにつれて、仮にソイツAが言ってる言葉がなんていってるのか分かってな。」
「なんて・・・言ってるんだ?」
「『聞こえてるのか?』って・・・『聞こえるなら、応えてくれ』そう言ってる。寝てる間中ずっとそう言われてる。最近じゃ、起きてるときでも聞こえるんだ」
「それで寝不足・・・か」
「済まんな。目の前でぶっ倒れるなんて。ま、小島の前でぶっ倒れるくらいだったら、黒崎の前の方が何倍かマシだけどな。」
そう言って少し笑うの頭を、少し乱暴にかき回してやる。
「いいよ。明日起こしてやるから、今日はゆっくり寝とけ」
「ありがとう。黒崎」
 
 
 
 
 
 
「ったく。一護の霊圧に感化されてんじゃねぇよ、。」

 
しかめっ面をしながらも、その瞳に複雑な色を滲ませて、無意識に触れようとした己の指を押さえ込んだ。
触れたくても、触れられない。
触れてしまえば、彼が必死になって守ってきたもの。誓い。全てを無駄にしてしまう。
それに・・・
 
 
 
 
 
 
「斬魄刀の声に、あまり耳傾けるなよ?」
彼の斬魄刀は、彼以外認めない。
触れさせも、しない。
その斬魄刀が今、一護の霊圧に感化されて揺らいでいる彼を、目覚めさせようとしている。
「こりゃ。厄介なことが起こりそうだな。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
聞こえるか?
  
               我の声が。
 
聞こえるならば、応えてくれ。
                         
                             我が名は・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
まだ、一護が朽木ルキアと出会う、少し前のお話。
アトガキ
ふう
異様に出来上がるのに時間かかった代物と化いたしました。
構想自体はもうすでに出来上がってたのに・・・_| ̄|○|||
2023/07/21 CSS書式修正
2007/12/09 初稿
管理人 芥屋 芥