About Death Way
Hangover
「ちょっとギン。あんた何やってんのよ」
卯ノ花が隊舎へと離れた隙に、市丸がの顔に筆を持ち出してなにやら書いているのを、松本が見咎めて声を出した。
「え?何って決まってるやないの。落書きしとんのや」
と平然な顔で筆をの顔に・・・べチャッと音をさせて筆を滑らせて何やら書いている。
「ギン・・・あんたねぇ・・・」
と呆れた声で松本が言うが、次の言葉に今度は俺が言葉を失った。
てっきり止めるかと思っていたんだが・・・
「何一人で面白いことやってんのよ。私もやるぅ」
と目をキラキラさせて語尾にハートか星がついてるような言葉を発し、壁のところから移動してきて縁台へと上がるとそのまま市丸の持っていた筆を取り上げて
「さぁ、書くわよー」
と意気込んでいるから、流石に
「松本、止めておけ」
止めるが、松本が言う事を聞くはずがない。
「あらー隊長もやりません?楽しいですよー
 それに、これは落書きじゃなくて、『フェイスペイント』って言うんですって。
 今現世じゃこういうの、流行ってるみたいですよ?」
と言いつつ、筆はの顔を滑っている。
「んもー隊長ったら、流行を知らないんだからー」
などと、やはり語尾に星かハートか何かがついてるような声だ。
だがな松本。周りを見てみろ。
藍染と雛森とが思いっきり引いてるだろうが。全く。
まぁ、は事の成り行きにただオロオロしているだけだったがな。
そして、
「市丸君、それはいくらなんでも・・・」
と藍染は松本と一緒になっての顔に筆を落としている市丸を止めている。
「藍染の言うと通りだぞ松本。悪ふざけはするな」
悪ふざけが好きな部下だよ、全く。
と呆れていると、不意に松本が持っていた筆が取り上げられた。
「あっ、卯ノ花隊長。」
戻ってきた卯ノ花に筆を持っていかれた松本がまるで悪戯っ子のイタズラが見つかったときのような声を出した。
「いけませんよ、松本副隊長。
 無抵抗な人をこのように弄んでは。今度あなた方が怪我をしたときには・・・」
と最後の言葉は聞こえなかったが、松本が少し青ざめていくのは分かった。
「や・・・やめます。今すぐヤメマス」
と慌てて市丸と松本が筆を仕舞う。
果たして何言われたんだか・・・な。
そして、当の書かれたは、未だ目覚める気配はない。
だが
「あら、目が覚めました?」
と卯ノ花がの意識が戻ったことを言った。
「あ・・・あの・・・卯ノ・・・花・・・さん?」
「はい。」
と返事をした卯ノ花だったが、の顔をみて
「はい、お顔拭いてください。
 スッキリしますから」
と笑顔で言った。
 
 
 
それを見て、正直
『流石だ』
と思った。
俺にはあんな真似は出来ねぇな。
と感心しながらに手ぬぐいを渡している卯ノ花を見る。
も、感心しながらそんな二人の様子を見てやがった。
拭き終わったが卯ノ花に聞いていた。
「あの・・・なんでこの手ぬぐい、こんなに黒くなってるんですか?」
とな。
ったく。
だから、怪しまれるって思ったんだ。
でも卯ノ花はその質問に動じることもなく
「あら。この布は、水を含むと黒くなるんですよ」
とニッコリとフォローすることも忘れない。
それを聞いた
「へぇ、不思議なものですね」
と感心半分に納得している。
すげぇな、ほんと。
「すっきりしましたか?」
と笑顔で聞いた卯ノ花に
「はい」
と、笑みを浮かべながら答えている。
口元を少し笑いの形にして、目じりを少し下げるだけで、奴の固い雰囲気は一気に柔らかくなる。
普段が普段の仕事内容だけに、笑う機会はそうそうあるはずもないだろうから、これが奴の笑顔なんだろうな。
と、日番谷はそう結論付けた。
 
 
 
 
「スミマセンネェ〜さぁん〜熱燗持ってきてもらっちゃってぇ〜」
と、酔っ払った松本が熱燗を二本持ってきて席に座ったに腕を伸ばして絡む。
当のは完全に引いてたから
「松本。余り絡むんじゃない」
そう注意してみるが、イカンセン酔っ払い(絶対酔ってないと思うけど、でもそれはも分かってるみたいだったけど)相手に何言っても聞きゃしねぇ。
「だってぇぇ。サンにはもう私達が原因だってバレちゃってんでしょぉ?
 だ・か・ら。
 ゴメンナサァイって。ね?サン?」
そう言う松本は、の顔を見てニッコリと悩殺の笑顔を向けた。
はと言うと、これまた顔を真っ赤にしながら固まっている。
だもんだから
「んもぉ。ちゃん、カワイイ」
と、語尾が上がった口調で松本がそう言って、の頬を人差し指でツンッと突いた。
ったく。
困ってんじゃねぇか・・・
と思ったら、
「あ・・・あの・・・松本さん・・・
 一杯・・・いただけませんか?」
というと、目の前にあったぐい飲みを空けたんだ。
その瞬間、バタリと床に突っ伏してしまった。
ったく。
松本がビックリしてを見ている。
まさかこんなに弱いとは思わなかったんだろう、も驚いた顔をしていた。
「あららぁ。さん、相当お酒弱かったのねぇ」
と卯ノ花が介抱しながらヤツをまた、寝かせている。
なんか今日アイツが倒れるの三回目じゃないのか?
と日番谷は思ったが
まぁ・・・いいか。
と、流してしまった。
が付いてるし、大丈夫だろう・・・と。
 
 
 
 
 
 
朝起きると、頭がガンガンした。
そういえば松本さんに迫られて、結局酒を飲んでしまったような記憶がかすかに残ってるような気もするけど、どこまでが現実なのかがハッキリしない。
でも・・・
「なんで飲んだんだろう・・・」
と思ったが、それもすぐに消えていった。
「あ。おはようございます」
と、君が扉のところから顔を出した。
「あぁ。おはよう」
今日もいい天気だ。
アトガキ
松本副隊長,迫りすぎ?
2017/07/20 書式修正
2007/08/21 up
管理人 芥屋 芥