About Death Way
Warship is my Home
まさか、ここで艦内マイクを手にすることになるとは全然思ってなかった……
の正直な感想である。
それにしても、いつ艦内から取ってきたのだろうか。
と、ゴロンと畳に寝転がって艦内マイクを掲げて見る。
カチャ……
という音が、なんだか妙に懐かしい気がするのはきっと職業病のようなものだと、は思った。
 
 
 
 
それにしても、この尸魂界っていうところは、新しいんだか古いんだか分からんな。
天井を見上げてそう考える。
あの時、彼、君が使っていたのは、明らかに携帯電話……のような物だった。
俺に艦内マイクを渡した後に鳴り出したそれを取り出して、彼の部隊の隊長……日番谷君……が呼んでるから行きますね?と行って、あっという間に去っていった。
「早いな……」
と感心したように言うと、(どうやら、あれは死神の移動法で『瞬歩』と言うらしい)は来た道をゆっくりと戻ることにした。
といっても、隊舎裏の修練場だから、すぐそこなんだが……

 
 
 
本当に、『霊圧』というものを使わなければ腹は減らない。そのことをつくづく実感する。
昼あれだけ腹が減っていたのに、あれから一度も腹は減らないし、疲れない。
「便利だな……」
と、思わず口から洩れる。
もしここに住むことになったら、その『霊圧』を使わなければずっと食費は浮くわけだ。
なるほどなぁ
と、妙なところで納得と感心をしている。
明日は、流魂街というところに行くのか……
そんなことをつらつらと考えていると、次第にの目蓋は落ちていった。

 
 
 
 
 
「まぁ……あいつ、地獄蝶を使ったしな」
あいつ、というのはさんのこと。
ここは、十番隊の隊首室。
仕事の後に、聞きたいことがあるからと隊長に言われ、そして残ってるのです。
まぁ……同僚には同情の目で見られましたけど……
それもこれも、松本副隊長が……まぁ、いいんですけどね。
僕自身も楽しいですし。
「へぇ。人間なのに地獄蝶がねぇ。それって、死神としての霊圧を持ってたってことなんでしょ?どうなのよ、。あんたが一番長く一緒にいたんだから、分かるでしょう?」
というのは、松本副隊長だ。
「まぁ……斬魄刀の声は、聞いたみたいですから、もう少しだと思うんですけれど」
隊長と副隊長に両側から挟まれて、少々の内心は冷や汗ものだった。
いや、別に怖いとかそういうんじゃないんですけど……
なんていうんでしょうか。
一応僕は平という立場なんですから、その辺りは、ね。まぁ、臨機応変ということで。

「そうか、分かった。もういいぞ、下がって。」
そう言われ、「では」と言って足を扉へ向けた時に、後ろから声が掛った。
「そろそろあいつも、現世で仕事が近いらしいからな。、その辺りは配慮してやれよ?」
「……はい」

 
 
 
 
 
それにしても、市丸隊長と松本副隊長は、最後の最後まで隠しとおすつもり……なんでしょうか。
まぁ、言わなければバレることもないですし、このまま隠し通せたら、『らっきー』という位にしか考えていないような、そんな気もするんですけれど。
それにしても、災難……ですよね。さんって。
さてと……ちょっと強引ですけど、先に行動しておきますか。
そろそろ現世に戻らなければならないようですし。
と、はそこから、瀞霊廷の外に向かって歩きだした。

 
 
 
 
 
 
「早いですね」
部屋に行くと、既にさんが死覇装に着替えて伸びをしていた。
「あぁ。まぁ、昨日はなんでか知らないけど早く寝てしまったみたいだから。」
と、そう言うと
「なぁ、貸してもらってるあの刀は、置いてってもいいのか?」
と聞いてきたから。
「いえ、持っててください」
と答えた。
「あまり、持ち慣れないものは持たない主義なんだけど……まぁ、ここは君に従うよ。」
そう言って、浅打に手を掛けた。

 
 
瀞霊廷から流魂街へ出るために、歩いていく。
「じゃぁ、その流魂街にいる人たちと、死神は違うの?」
「いえ、基本的には同じです。現世で亡くなった魂であることには変わらないんですが……ですが、その中でも霊力が強かったり、また、この世界で生まれた人も居て……中々に複雑なんです。」
一言で説明しきれない程に、この尸魂界は複雑になってしまった。
まぁ、仕方のないと言ってしまえば、仕方のないことなのだろう。
例えば四大貴族と言われる『家』は、朽木家を除き、ほとんどが壊滅状態。
特に四楓院家は、先代の当主夜一が居なくなってから、まだ次の当主が決まっていない。
志波家も、すでに没落している。
「色々大変なんだな、ここも。まぁ、うちの艦でも毎日毎日飽きない位色々あって大変だから、なんとなく分かるような。でも、乗り込めばそこは家同然だし、てか、法律的にも家になってるから、ま、艦が家っていうのもなんか変な感じするけど。でも、慣れてしまえばその大変さも、慣れるんだよな。」
と言った。

 
 
ん?
その言葉に、妙に引っ掛かりを覚えた。
なんか、『艦が家』って、そう言いませんでした?
「ちょ……ちょっと待ってください。今、なんか、サラッとすごいことを言いませんでした?」
その言葉に、さんの足が止まる。
その顔には、「俺、なんか変なこと言ったっけ?」と書いてあった。
「何?」
自覚がないのか、聞いてくる。
「あの今、『艦が家』って聞いたような……?」
その言葉にようやく合点がいったような顔をする。
「あぁ、うん。そう。あの「みらい」が俺の家。正確には、あの中のベッドが俺の家ってことなんだけど、でも法律的にはあの艦が俺の家だね」
そう言って、笑った。

アトガキ
恐らく、ジパ主の免許証にはこう書かれている……ハズ……
神奈○県 横須○市(略)無番地 略……護衛艦「みらい」
2017/07/20 書式修正
管理人 芥屋 芥