About Death Way
Captain in thePinch
普段よりも、小さくしてある霊圧で周囲を探ってみる。
丑の方向から強く感じるが、まだ遠い。
今ならまだ結界が間に合う。
 
 
 
 
 
義魂丸を飲んで、死神化する。
途端に大きく感じる虚の霊圧。
間に合え!

さん、ちょっといいですか?」
と言って
「あぁ、いいよ」
と返事を貰ってと扉を開けると、服を着た彼が立っていた。
「今、こちらに虚が来てます。霊圧から、かなり強い奴じゃないかなって思うので、とりあえずここには結界を張りました。」
と手短に用件を言うと
「なんとなくだけど、分かるような気がする。ちょっと首筋の辺りがゾクってしたからね。で、どうしたらいい?」
と聞いてきた。
「こちらからの霊圧は遮断しましたので、恐らく見つかる心配はないと思うんです。ですが、周りに迷惑を掛けそうなので、ちょっと行ってきます。」
そう言って、玄関をすり抜けていった。
「ほぉ……やっぱあぁいうの見ると幽霊っぽいよね。」
と、少々論点がズレたところに感心しながら部屋へと足を向けると、そこに居たのは、さっき出て行ったはずの……
「アレ?君?」

 
 
 
 
「つまり、君……その体を維持するための……偽の魂ってこと?」
事情を聞いたら、結局そういうこと、らしい。
「はい。ですが、これでも色々と役立つようには作られてます。俺はあの人専用の義魂丸ですから。」
そう言った彼のその言葉の裏にある、君への絶対の信頼をは感じ取る。
信頼してるんだな、彼を。
「ところでさ、やっぱりちょっと心配だから見に行くよ。なんか、こういうのって待ってるのって性に合わなくてさ。」
立ち上がると、彼も立ち上がる。
そして、
「ダメですよ。ここには、あの人の結界が張ってあるので勝手に破ることはできません。」
そう言って腕を取った。
「大丈夫。君が君を信じてるように、俺も君を信じることにしたから。」
と言って、
「それに、君。色々役に立つって自分で言ったんじゃないか。役に立ってくれるんだろ?」
とそう言うと、玄関から外に飛び出した。

なんだ、勝手に破れないとか言って簡単じゃないか。
そう思って階段を降りる。
だが降りたところで、一体彼がどっちに行ったのかわからないので途方にくれた。

その様子を見た彼は僅かに目を見開いた。
まさか、あの人の結界を破るなんて……
そんな衝撃が掠めていったあと、姿があっという間に見えなくなって慌てて後を追う。
さん……」
「で、どっちに行ったらいいんだ?」
と、階段下で途方にくれていた。
『彼』は一息吐くと
「今のあなたなら、霊絡くらい探れるんじゃないですか?」
と階段を下りながら言う。
「レイラク?」
頭をかしげてそう聞いてくるさんに
「霊絡です。霊気を視覚化するんです。今のあなたならできるはずですが……」
こうもやり方を知らないんじゃ、説明するより実践だな。

「いいですか?あの人の霊圧を、あなたは船に乗っていたときから感じていたはずです。それを思い出してください。」
「思い出せっつったって……急にそんな……」
そこで声は止まった。
シンッ……
目を閉じて、何かを思い出すようにが黙る。
あの時、ベンチの隣で感じた、穏やかな何か。
緩やかな時間……その表現が当てはまる程の、ゆったりとした空気。
数ある中から、掴んだそれを見て一言いった。
「見つけた……ってアレ?赤い?」

 
 
 
全く。ここまで苦戦することになる、は予想の範囲内……か。
それにしても、第一段階の封印を解きたいけど、現世じゃ絶対禁止だしなぁ……
さて、どうするか。
そう思ったときだった。
誰かの霊圧の接近を感じたのは。

近くに誰かが来てる?
この霊圧……
まさか、さん?
参ったな。
さて、どうしようかな。
『主上。』
心の迷いを敏感に感じ取った斬魄刀が問う。
『分かってる。というより、そろそろ来そうで……さ』

 
 
「死神がぁ。そんなスカスカな霊圧で俺と戦おうなんてよく考えたなぁ」
と、虚が言ってくる。
別に、元からスカスカにしているわけじゃないんだけどな……
そんなことを考えながら、は応戦する。
全く。
「破道の三十一 赤火砲」
だが、傷一つ負わせられない。
どうしようか……
一瞬の隙をついて、虚の振り下ろした爪が目の前に迫る。
あ、しまった。
『主上?!』
森羅光玉が慌てた様子で声を発する。
だが振り下ろされた爪は、に届くことはなかった。

 
 
「全く、いつまで現世でちんたらやってんだお前は。さっさと連れて来いって言っただろうが!」
白い隊長束が、目の前に揺れている。

 
 
 
 
 
「隊長!」

アトガキ
日番谷登場!
2017/07/20 書式修正
管理人 芥屋 芥