About Death Way
Will be Japan
うん。
飯が美味い。
生き返った……とまでは行かないが、恐らくそれに近いだろうな。とは思う。
こうして美味い飯を食えるのも、体あればこそだ。
 
 
 
 
 
「いいですか?」
そう言って入ってきた君に
「じゃ、よろしく」
と言って体を横にする。
生憎同室者は当直でいない。

それにしても、やっぱり不思議な光景だな……
と、自分の体を見るたびにそう思う。
いや……まぁ昔はよくやっていたが、こうはっきりと見たことはなかったから。
「集中して、心の中にもう一人の誰かの声が聞こえたら、それがあなたの斬魄刀の声です。」
君が言う。
昨日の夜、いや深夜に色々と話してて、こいつは信じられると、思った。
話が通じるのだ。
ということは、市丸とは話が通じていなかった……のかもしれないと、そう俺は結論付けた。
ハッキリ言って事態そのものを完全に把握しているわけじゃ勿論ないし、少し納得がいかない部分もある。
だけど、少し話すだけで相手が「話が通じるやつ」なのか、そうでないかくらいは分かる。
なにより、こいつは……
艦に「よろしく」と言った。
それだけで、俺にとっては十分過ぎるほどの理由になった。

「霊力を使うと、お腹減りますから。口に合うかどうかわかりませんが、どうぞ。」
と言って、差し出されたのは三色団子とお茶だった。
どこに隠してたんだろう……と思ったがこの際突っ込みは入れない。
「ありがとう」と言って素直に受け取る。
一口食って思わず言った。
「うまい」と。

「僕の、瀞霊廷での行きつけの団子屋なんです。」
と、笑顔で言う。
それにしても……
「市丸もそうだったけど、君も銀髪だよね。ねぇ、死神って皆銀髪なの?」
と聞いた。
そう聞かれるとは思ってなかったんだろう。
「え?」と言ってキョトンとしている。
そして
「いや……別に皆って言うほど多くは……ないです。僕のところの隊長も銀髪ですけど、でも大抵は黒い髪の人が多いですね。」
と答えてくれた。
「ふーん」と言いながらお茶に手を伸ばす。
これまたうまい。
「そか。おいしかったよ、ありがとう。」と言って伸びをして体の緊張を少しほぐした。
そして
「じゃ、もう一頑張りしましょうかね」
と再度挑戦する。

 
 
自分の内にある世界から、その居るかどうかも分からないそいつを探す。
だが、考えたところで海しか浮かばなかった。

う〜ん……海しか浮かばん。

と思ったその時だった。
その海の上に、俺は立っていた。
海……海!?

ドボンッ!
立っていた……いや、訂正。今、落ちた。
だが、慌てることなく海面に顔を出すと、周りを見渡してみた。
しかしそこには、何もないただの海の風景があるだけだった。

しばらく俺は、体を楽にして海の上に漂っていた。
分からん。
もし、ここが俺の中の世界だとしたら、やっぱり海ってことになるのかな……
そんなことを考えながら、波間を漂う。
空は少し曇り気味で、雲量は4〜5という程度。
少し風が出てきた。
こりゃ、荒れるな。
だが、もしここが君の言う、俺の中の世界なら……
荒れないかもしれない。
何故ならこうしてるのが凄く気持ちがいいからだ。
海面温度は申し分なく、暖かい。
冷たすぎず、熱すぎず。
丁度いい暖かさ。
恐らく季節は、初夏か夏の海だろう。
太陽はないが、空は青い。
ホラ、世界が明るくなってきた。

 
 
気がついたら、朝だった。
総員起こし五分前の放送が、直後頭に響く。
ということは、0555(午前五時五十五分)を意味する。
もうそんな時間……か。さて、今日はいよいよ上陸目前……だ。
周りを見渡すと、やはり君は消えていた。
『では、昼間は仕事の邪魔になりますから、僕は色々と見て回ってます。』
と、仕事の内容を言ったとき、彼の方から切り出したのだ。
それにしても、死神……か。
まだ明確には返事していないけど、今日あたり返事を言おう、と思う。
態度が曖昧じゃ、向こうにも失礼だからな、とそう思いながら部屋を出た。
明日は、日本だ。

 
 
 
急ぐ必要なんかなかった。
彼は、もう既に彼の斬魄刀の一部を感じている。
だったら、このまま自然に任せてみるのも面白いかもしれませんね。
と、そう思いながら、初日にそこに立って以来一番気に入っている場所……艦の切っ先に立って風を頬に受けている。
それにしても、この艦……なんだか瀞霊廷のようだと、振り返った真正面に見える艦橋と呼ばれる部分に視線を向ける。
見えない膜……れーだーと言うらしい物に守られて、常に監視しているのだそうだ。
そして、それは空・海だけに留まらず、海の中までもを監視できる艦、だと聞かされたときは酷く驚いた。
海の色が、二日前とは全然違う色に変わったこともまた、一つの発見だった。
『日本に向かうと、海の色が変わるから見ててごらん。結構新鮮だぜ?』と言った言葉は本当 だったと、は思った。

これから、恐らく彼らの勤務が始まる。
ここからは、邪魔はできない。

 
 
 
艦は進む。
日本に向けて。

 
 
「あ……四十六室ですか?ちょっと下ろしてもらいたい許可があるんですが……」
携帯に近いものを取り出して、番号を掛けた。

準備だけは、しておこう。

アトガキ
明日は、日本到着……でもいろいろあって一日ずれます。しかも休みじゃない……A艦勤務者に休みは!……実質ない……
2017/07/20 書式修正
管理人 芥屋 芥