About Death Way
Name is Mirai
バタン……という音を立てて扉が閉まる。
途端には大きく息を吐いた。
「で?君は何者だ。市丸の仲間か?」
怪訝な表情で、そう聞いてきた。
 
 
 
 
 
「僕は、といいます。護廷十三隊十番隊の平隊員をやってます。」
と、いつものように挨拶しただけだったのに……
さんは怪訝な表情のままだった。
もしかしたら……
「市丸隊長は、何も言ってないんですか?」
そう聞くと、「あぁ……」と肯定の意を含んだ相槌が、返ってきた。

まさか……ここまで説明の『せ』の字もしていないとは思わなかった。

尸魂界のこと、瀞霊廷のこと……そして死神のこと。
全く彼は知らなかったのだ。
たださんが聞いたことといえば、
1・市丸は自分を死神にしようとしている。
2・なぜ自分なのかは検討がつかない。
3・市丸は誰かと勝負をしているらしい。
4・市丸は人の飯を勝手に食った……(これは私怨?)
5・市丸は人の私物を勝手に漁った……(これも私怨?)
と、まぁ……
市丸らしいといえばそうなのかもしれない行動の数々を聞かされて、少々は頭が痛い。
こんなんじゃ、「ガードが固い」のは当たり前だ!
いっそ『平』という立場捨ててしまおうか?
と、本気で思った。

「まぁ……確かに市丸隊長とうちの松本副隊長が勝負しているのは確かですけど……」
と、思わず呟く。
事の発端は、瀞霊廷にある居酒屋で起こった。
……顛末は置いといて、そんな「些細な言い争い」で目を付けられた方は堪ったものではないだろうな。
と、目の前にいるさんに少し同情する。
ま……事の真相は発覚するまで黙っとこ。

「大体は分かったよ。でも、なんで俺なんだ?その……『霊圧』というのがそのこっちでいう霊感っていうものなら、持ってるヤツはウチの艦にも何人かいるはずだぞ?」
「カン?」
と、が首をかしげる。
「あ……この艦(ふね)のこと。護衛艦。だから艦。そのまんまで面白くも何ともない呼び名だけどな。一応正式にはDDH-182のイージス護衛艦「みらい」っていうんだ。」
「あ、なるほど。この舟の名前ですね」
そこで納得がいった。
「そうですか。この艦、「みらい」って言う名前なんですね。」
壁に手をついて、笑顔で言った。
「よろしく、みらいさん」と。

 
 
 
「まず、最初に……」と言ってが刀を抜く。
その刀が一体なんなのかは、市丸に聞いた。
『斬魄刀』
で、それが今自分に向かってこようとしている。
あー俺の人生ここで終わるのね……
と思ったら、意外にあっけなく肉体と魂が離れた。
痛みは、なかった。

 
 
 
胸からなにやら鎖があって、それが肉体と繋がっている。
「これは?」と聞くと、
「それは、因果の鎖。あなたがまだ本当の意味で死んではいないという証です。」
と何故か笑顔でそう答えた。
としては、ここは彼に任せるしかない。
「はぁ……」と、なんとも力の抜けた声でそう答えると、
「で、これ、どうするんだ?」と聞いた。
「息苦しくないですか?」と、反対にの方から聞いてきたから。
「いや……少し苦しいような気がするけど、それがどうかした?」
と、なんともないような声で言う。
その言葉に今度はの方の表情に僅かに真剣さが宿ったが、それを気取らせる零番隊の隊長であるではない。
「そうですか。」
とだけ言って、とりあえず体の方に手をかざす。
なんとも不思議な光景だな……
と、そんなの姿を横目で見ながらは考える。
どうも変な感覚だ。
大体、自分の体を客観的に見ること自体あまりやらないことだし、ましてや意識だけ別のところにあるなんて。
昔はしょっちゅうやっていたが、それが危険だとわかってここ10年はやってないのだ。
なんとも久しぶりだな……と、少し感慨深げにの後姿を見ていた。

「さて、これでよし」と言ったので、自分の体を見てみると、周囲になにやら膜のようなものがあった。
「これは?」と聞くと
「大丈夫。死神になったら、自由に体とか行き来できますから。」
といった瞬間だった。
「あ……時間だ」
そう言って時計に目をやる。
「どうしたんですか?」とが聞いてきたから
「飯だよ飯。」と言って
「これ、戻っていいの?」と聞いた。

アトガキ
さてさて。
どうなることやら……
それにしても、補給科主の能力のこと少しだけ出てましたね。
2017/07/20 書式修正
管理人 芥屋 芥