About Death Way
CIC
『○に……二股?ワイ……という英語……かなこれ』
己の斬魄刀にそう話し掛けてみる。
自分よりも英語というものに強い彼は、
『そうです。○の中にYの文字……何か意味があるのでしょうか?』
と聞いてきた。
『さぁ……僕に聞かれても分からない。ただ、普通の扉じゃない気がするよ?』

そうは言ってみても、内心は興味津々だということを、森羅光玉は見抜いてる。
何も言う前から扉をすり抜けようとする辺りなどは、その現れだろう。
本来のを知っている森羅光玉は僅かにため息をついた。
 
 
 
 
 
入ってすぐ、暗闇がを覆う。
だが、そこは真っ暗という訳ではなかった。
何かの機械だろうか。
光を放っている画面の前に人がいて、それを見ている。
そして時折
「対空・対潜・対水上。異常ありません」
といった恐らく報告なのだろうか、の声が上がるだけの、至って静か過ぎる部屋だった。
どことなく、四十六室地下会議室を思わせる、そんな部屋。
周りにある機械とか、いる人数は全然違うけど、なんとなく雰囲気だけはあの部屋に近いな。
は思った。

「艦橋・CIC……異常ありません」
上の方にある何かの機械を取って、恐らくここの責任者なのだろう人物から、その機械の向こうにいるであろう恐らくこの舟の船長に連絡を入れていた。
恐らくここはこの舟の中枢で……スッとその場からは天井をとおりぬけた。

『主上?』
急に天井へと消えたに、森羅光玉が驚きを含めて声を掛ける。
『あの場所は、この舟の中枢なんだ。きっと、あの扉に貼ってあった○にYの文字は、恐らく何かしらの禁止なり何なりを示すものだったのだろう。そんな場所に、僕が無断で入っていい訳はないだろうからね。』
と、いつもの笑顔でそう言って。
急に視界が明るくなり、目の前に広がった随分低く見える水平線へと視線を向けた。
「うわぁ高いな……」
思わず呟いたの声に反応した人物が一人。
「副長、何か言ったか?」
と、椅子に座って前を見ている人物が立っている人に声をかける。
「いえ。自分は何も言ってませんが」
と、答えたのは服の後ろに「船務長」と書かれた服を着ている人物だった。
「そうか。私の空耳か。いや、私も年だね」
そう言って時計を見る。
一方、呟いたの方はというと、とても驚いた顔をしていた。
この舟の中で彼以外特に霊圧が高いという人間は皆無だったはずだった。
なのに、今自分の発した言葉を、声をこの時計を見ている人物は僅かにだろうが聞き取ったことに。

は黙って色々見て回ることにした。
今ここで自分の存在を知られたくなかったのもあるが、話がこれ以上ややこしくなるのだけは避けたかったからだ。
それにしても案外広いんだな……と、は思う。
扉の向こうには僅かな廊下があって、そこにいる人たちもいる。
一通り見回すとは再び舟の中に足を入れてみた。
今度は、船底のところから。

 
「……デカイ……」
そう思わずにはいられなかった。
しかも、すごく煩い……
キュイーーーーンという、なんだか変な音が辺りに響いている。
急いでその部屋を出ると、少しは音が収まった。
しばらくその音から遠ざかるように歩いていて、前に人の気配がしたので、スッと壁の中に身を潜める。
「とりあえず、経理連中……間に合うかな。……今回も徹夜かなぁ……」
といいながら向かってきたのはさんだった。
彼は、壁に視線を向けてそして、固まった。
「あ……あの……さん?」
そう声を掛けてみるが、反応はなし。

後ろから来た誰かに「補給長?」と声を掛けられてようやく我に返ったようだった。
「すまんが……変われ」
と、後から来た男の人にそう言って、彼は元来た廊下を戻っていった。
「補給長!どうしたんです?」との声が後ろから上がっていたが
「ちょい、気分が悪いんだ。医務長のとこ行ってくる」
そう言って、戻っていった。
多分、これは……
『話があるから、少し部屋に来い』
を暗に言ってるのかもしれないとは判断し、彼の後についていった。

アトガキ
「みらい」の船底。
エンジンルームにどうやら足を入れてしまった模様。
航空エンジンなんで「キュイーーーーーーーーーン」という高い音がします。
動力は、軽油・・・正確には灯油に近い代物です。(バカ高い航空燃料なんか使ってた日には、防A費すぐに底つきます。マジなお話)
さて、船底での再会となりました。
2017/07/20 書式修正
管理人 芥屋 芥